暗号資産取引所のCoinbaseは、社内業務向けAIエージェントの試験運用を開始した。Slackとメールに導入し、AIを業務フローに組み込むことで、組織運営の高度化を進める。
Cointelegraphが20日(現地時間)に報じたところによると、ブライアン・アームストロングCEOは、社内のSlackとメールシステムにAIエージェントを導入し、業務全体へのAI統合を進めていると明らかにした。
同氏は、すでに2つのAIエージェントを先行導入したと説明した。いずれも同社の元幹部を模したもので、今後は従業員が自分やチーム向けのカスタムエージェントを簡単に作成できるようにする計画だという。アームストロング氏は「将来は、人間の従業員よりエージェントの数が多くなる時点が来る」と述べた。
1つ目は、共同創業者フレッド・アーサム氏をベースにした「フレッド」だ。戦略立案を支援する役割を担い、組織内の優先順位付けや戦略方針の整理を後押しするよう設計した。Coinbaseは、役員レベルのフィードバックを提供することを目標にしているとしている。
もう1つは、前最高技術責任者(CTO)のバラジ・スリニバサン氏をモデルにした「バラジ」。同社はこのエージェントを、既成概念を揺さぶり、発想の幅を広げる存在として位置付けており、イノベーションの促進につなげる考えだ。
Coinbaseはこれまでも、AI活用の拡大方針を繰り返し示してきた。アームストロング氏は昨年9月、同社のコードの半分以上をAIが生成する体制を目指す方針を掲げ、約4000人規模の組織を「AIネイティブ」環境へ転換することを中核課題に挙げていた。
同社は、AIエージェントを前提とした決済インフラの整備も進めている。2025年5月には、暗号資産と法定通貨の双方に対応する「x402」プロトコルを公開し、AIが実際に取引や決済を実行できる環境づくりに着手した。
業界でも同様の見方が広がっている。Circleのジェレミー・アレアCEOは、今後3〜5年以内に数十億のAIエージェントがオンチェーンで取引するようになるとの見通しを示した。前Binance CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏も、暗号資産を「AIエージェントのネイティブ通貨」と位置付けたことがある。
今回の取り組みは、単なる生産性向上ツールの導入にとどまらない。AIエージェントを暗号資産の決済・取引と結び付ける実運用の仕組みを、まず社内業務から広げようとする動きといえる。今後は、エージェント導入の拡大ペースと、業務・取引の自動化がどこまで進むかが注目点となりそうだ。