モバイルアプリ市場で新規公開本数が急増している。Appfiguresによると、2026年1〜3月のApp StoreとGoogle Playにおける新規アプリ公開数は前年同期比60%増加した。4月時点ではiOSとAndroidの合計で104%増となり、AIがアプリを置き換えるのではなく、むしろ開発参入を後押ししている構図が鮮明になっている。
この動向は、GIGAZINEが4月20日付で報じた。AIの普及によって既存アプリの存在感が薄れ、アプリ市場が縮小するとの見方もあったが、足元では逆の動きが確認された格好だ。
Appfiguresの集計では、2026年1〜3月の世界の新規アプリ公開数は、iOSが前年同期比80%増、Androidが同60%増だった。
さらに2026年4月時点では、iOSとAndroidを合わせた新規アプリ公開数が前年同期比104%増となった。iOS単体でも89%増に達した。
これまで業界では、ユーザーインターフェースが対話型に移行し、AIチャットボットやAIエージェントが既存アプリの一部機能を代替することで、個別アプリの必要性が低下するとの見方があった。
Appleのマーケティング責任者、グレッグ・ジョズウィアク氏は最近のインタビューで、こうした見方を否定した。同氏は「App Storeは健在だ。断言できる」と述べたうえで、「AI時代にApp Storeが終わるといううわさは、かなり誇張されている可能性がある」と語った。
実際、足元の市場ではAIがアプリ数を減らすのではなく、新規供給を増やす方向に働いているようだ。Appfiguresのデータからは、AIツールの進化によって開発経験の乏しい個人でもアプリ制作に参入しやすくなり、新規アプリの公開が急増していることが読み取れる。
ジャンル別の動きにも変化が出ている。2024年から2026年までの第1四半期の公開アプリをみると、ゲームは首位を維持した。一方で、2026年1〜3月は生産性向上やヘルス・フィットネスが上位に入り、AI活用需要が実用系アプリにも広がっていることを示した。
一方、アプリ減少を予測する声もあった。英スマートフォンメーカーNothingの共同創業者兼CEO、カール・ペイ氏は過去に「AIエージェントがスマートフォンアプリを代替し、アプリは消える」との見方を示していた。ただ、足元の公開動向はその予測とは逆方向に進んでいる。
もっとも、新規アプリの急増がユーザーにとって利点ばかりとは限らない。選択肢が増え、多様なツールに触れやすくなる半面、信頼できるアプリとスパムや有害なアプリを見分ける難しさは増す可能性がある。プラットフォーム運営側には監視体制の強化が求められ、利用者にも引き続きセキュリティへの注意が必要になりそうだ。
現時点でAIは、モバイルアプリの終焉を早める技術というより、開発の参入障壁を下げて供給を拡大する要因として作用している。今後は、急増したアプリが実際の利用拡大や品質向上につながるのか、またプラットフォーム側がそれをどう管理するのかが焦点となる。