暗号資産取引所BTCCは20日、SpaceXに連動する無期限先物「SPACEXUSDT」を上場した。トークン化株式セクションで取り扱い、最大50倍のレバレッジに対応する。未上場企業への投資関心を暗号資産デリバティブ市場に取り込む狙いとみられる。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、同商品はUSDT建てで取引できる。BTCCはこれまでにも、伝統市場関連のテーマを取り込んだ商品を提供しており、今回の上場で関連ラインアップを広げた格好だ。
背景には、未上場の大型企業に対する個人投資家の関心の高まりがある。SpaceXはイーロン・マスク氏の知名度に加え、衛星インターネットサービス「Starlink」の成長やIPO期待を背景に、民間市場で注目を集める企業の一つとなっている。
BTCCも、SpaceXが高い知名度を持ち、投資家にとって分かりやすい成長ストーリーを備えた銘柄である点に着目したという。
市場の関心は足元で一段と高まっている。2026年1〜3月期のStarlinkアプリのダウンロード数と月間アクティブユーザー数は、いずれも前年同期比で2倍超となった。2月時点の加入者数は1000万人を超えた。
民間市場での評価も投資家心理を支えている。2025年12月の公開買い付けでは、SpaceXの企業価値は約8000億ドルと評価された。最近ではIPO観測を背景に、最大1兆7500億ドル規模との見方も出ている。
競争環境もSpaceXへの注目を高める要因となっている。Amazonは衛星通信企業Globalstarを115億7000万ドルで買収する方針だが、衛星配備の規模ではSpaceXとの差が大きいとされる。Starlinkはすでに1万基超の衛星を運用している。
こうした中、未上場企業に直接投資しにくい個人投資家にとって、無期限先物は価格変動や市場心理に賭ける間接的な手段となっている。
BTCCは、この分野では初期の取引需要が強かったと説明しており、SPACEXUSDTについても十分な流動性を備えた商品だと強調した。
上場に合わせて販促施策も打ち出した。BTCCは最大1000USDTの報酬に加え、Teslaのサイバービーストを景品とするイベントを実施している。
一方で、アクセスのしやすさが高まる半面、投資リスクも大きい。BTCCは案内資料で、レバレッジ取引は上昇局面だけでなく下落局面でも値動きの影響を拡大させると明記した。
とりわけ、プレIPO期待を織り込む銘柄に高倍率のレバレッジを組み合わせた場合、価格変動は大きくなりやすい。分かりやすいテーマ性を持つ一方、実態は高リスクのデリバティブ商品であり、個人投資家には慎重な判断が求められる。
業界では今回の事例について、暗号資産取引所が知名度の高い未上場企業を24時間取引可能な商品へと再構成する流れの一環と受け止める向きがある。SpaceXのように話題性と投資家の関心を兼ね備えた資産は、こうした商品設計と相性がよいとの見方だ。
今後の焦点は、トークン化されたプレIPO関連商品が一時的な話題にとどまるのか、それとも独立した投資カテゴリーとして定着するのかにある。初期需要の後も取引が継続するかどうかが、その見極めの材料となりそうだ。