Oracleは4月20日、AI向けに最適化したデータベース「Oracle AI Database 26ai」を発表した。データを別環境へ移さず、その場でAIを適用できる設計を前面に打ち出し、分散した企業データの活用を簡素化する。単一のデータエンジンでリレーショナル、ドキュメント、ベクトルデータを扱える点も訴求し、安全性や柔軟性を重視する企業のAI導入需要を取り込む狙いだ。
企業向けコンピューティング市場では、AIエージェントを前提にハードウェアとソフトウェアの両面を再構成する動きが広がっている。こうした中、Oracleも主力のデータベース製品群を軸に、AI活用に最適化した基盤づくりを進めている。
同社のAIデータベース戦略は、AI活用のためにデータを移動させるのではなく、データのある場所でそのままAIを実行できるようにする点にある。安全性を確保しつつ、ベンダーロックインの抑制も図る考えだ。
Oracleでデータベースエンジニアリング部門を統括する上級副社長のハサン・リズビ氏は、「OpenAIのChatGPTやAnthropicのClaudeのようなAIは公開データを基に学習している。企業がAIから実用的な価値を引き出すには、社内データを安全に活用できることが重要だ。Oracle AI Databaseはその中核基盤になり得る」と述べた。
Oracleによると、Oracle AI Database 26aiは、データ管理の中核にAIを組み込むことを前提に設計した。組織内のさまざまなデータにAIを適用できるようにするのが特徴だ。
機能面では、AI Vector Searchをはじめ、データベース管理、データ開発、アプリケーション開発、分析の各領域でAIを活用できる「AIネイティブ」なデータベースを掲げる。
リズビ氏は、「AI活用のためにデータを移動させる必要はない。ベクトルデータベース機能を内蔵しており、既存データベースのデータを変換して別のベクトルデータベースへ移す複雑な手順は不要だ」と説明。データのある場所で直接AIを活用できる点を強調した。
Oracleは、ベクトルデータベース機能に加え、エージェント型AIのフレームワークもデータベースに直接統合した。リズビ氏は「今後はシステムやアプリケーションの開発でAIエージェントの活用が広がる。26aiは、データベース内でデータ集約型アプリケーションを開発できるよう支援する」と語った。
そのうえで、「データを移動させずにエージェントを活用したアプリケーションを開発できるだけでなく、AIエージェント管理のガバナンスも確保できる」と述べた。
OracleがAIデータベース戦略で強調するもう1つの柱が簡素化だ。リズビ氏は、データが複数環境に分散するとAI実装が難しくなるとしたうえで、Oracleはコンバージドデータエンジンを採用し、リレーショナルデータベースからドキュメント、ベクトルデータまで単一エンジンで処理できると説明した。
同氏は「急速に進化するAIのスピードに対応するには、複雑さを取り除く必要がある」とも述べた。
またOracleは、企業のAI活用におけるデータロックインの低減にも力を入れている。大規模データ管理向けに設計されたオープンソースのテーブル形式「Apache Iceberg」への対応を重視し、レイクハウス機能を強化したこともその一環だという。
リズビ氏は、「Oracleのレイクハウスは、80種類のコネクターを備えたAIデータハブへ進化している」と説明。「Oracle Database上のデータだけでなく、Apache Icebergに対応する他社プラットフォーム上のデータにもAIを適用できる」と述べた。
さらにリズビ氏は、Oracle AI Databaseが多様な導入形態に対応することから、各国で関心が高まるソブリンAIの観点でも有力な選択肢になるとの見方を示した。
「Oracle Databaseは、オンプレミス、パブリッククラウドのOracle Cloud Infrastructure(OCI)、ハイブリッドクラウドに加え、他社クラウドでも同じコンバージドデータエンジンを利用できる。Oracleによる運用サービスの利用にも、自社運用にも対応する」と説明した。
そのうえで、「さまざまな環境間でワークロードを自由に移行できる。データ主権の面で大きな差別化要因になる」と強調した。