米国商品先物取引委員会(CFTC) 写真=Shutterstock

米国商品先物取引委員会(CFTC)は、人員削減が進む中でも、AIと自動化を活用して暗号資産と予測市場の調査・市場監視を強化する方針を示した。監督対象の拡大が見込まれる一方、予算や人員の不足が課題として浮上している。

CoinDeskが16日(現地時間)に報じたところによると、マイク・セルリックCFTC委員長は米下院農業委員会の公聴会で、AIを調査や市場監視に積極的に導入していると説明した。

セルリック氏は、CFTCの人員が2025年以降に約4分の1減少したものの、業務効率はむしろ向上したと強調した。AIのようなツールは市場監視や調査の遂行に有効で、すでに複数の業務で活用しているという。人員減少への質問に対しても、「より効率的かつ効果的に運営できている」と述べた。

一方で、CFTCの監督範囲は縮小するどころか、拡大する可能性がある。上院で議論が進むデジタル資産市場明確化法案(クラリティ法)は、非証券性の暗号資産取引に関する中核的な監督権限をCFTCに委ねる内容だ。成立すれば、ビットコインやイーサリアムを含む主要暗号資産の現物取引で、CFTCの役割が一段と大きくなる可能性がある。

予測市場でも同様の流れが進んでいる。CFTCはPolymarketやKalshiなどを巡り、法的管轄を巡る議論が続く中で、関連市場の規模は1年前の数百万ドル規模から、足元では数十億ドル規模へと膨らんだ。下院農業委員長のグレン・トンプソン氏は、議会がデジタル資産と予測市場の規制を引き続きCFTCに委ねているとした上で、追加人員が必要であれば議会に支援を求めるよう促した。セルリック氏もこれにただちに同意したという。

ただ、人員面の制約はなお厳しい。CFTCの来年度予算要求では、執行部門の増員は3人分のみが反映された。執行要員は108人に増える見通しだが、2025年の140人と比べるとなお23%少ない。民主党のアンジー・クレイグ議員は、CFTCが最も急成長した市場を担う主要規制機関であるにもかかわらず、人員不足が深刻だと指摘し、役割を果たすには人員と予算に加え、明確な法的権限が必要だと述べた。

予測市場への取り締まりが強まる可能性もある。セルリック氏は、予測市場を巡って多数の調査が進行中であることは認めたが、具体的な件数や焦点については明らかにしなかった。その上で、規制対象のプラットフォームがインサイダー取引や詐欺、相場操縦を防ぐ「第1の防衛線」であり、CFTCは「第2の防衛線」だと説明した。

また、CFTCは契約を定期的に却下しており、市場に上場された商品も積極的に精査していると述べた。違法な市場活動には無寛容の姿勢で臨み、関与した者は誰であっても法に基づき厳正に処分する考えも示した。

実際、予測市場ではセルリック氏の在任中、インサイダー取引疑惑が相次いでいる。プラットフォーム側が自主的に対応した事案もあったが、米国の軍事行動や政府による発表などを巡る取引では、匿名の少数参加者が大きな利益を得たとみられるケースが注目を集め、政府内部情報を利用した取引の可能性が取り沙汰された。

委員会の運営体制そのものも不安定だ。法律上、CFTCは5人委員会で構成されるべきだが、現在はホワイトハウスが後任委員を指名しておらず、セルリック氏1人の体制にとどまっている。公聴会では、この状態で主要規則の策定まで進めるのかを疑問視する声が相次いだ。

こうした中でも、CFTCは米国の予測市場に関する基本的な規制の枠組みを整えるため、予備規則の制定手続きを継続して進める見通しだ。暗号資産関連の政策作業も並行して進めるとみられる。

今回の動きは、CFTCが人員減の中でもAIを監督業務に本格活用しようとしていることを示した。同時に、暗号資産や予測市場のような急成長分野を、現行の組織規模だけで担うことの難しさも浮き彫りにしている。

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