写真=Stellantis

StellantisはMicrosoftと5年間協業し、車載サービス、ソフトウェア開発、サイバーセキュリティの各分野でAI活用を拡大する。自動車産業でソフトウェアの重要性が高まる中、AIを競争力の中核に据える狙いだ。

Ars Technicaが16日(現地時間)に報じたところによると、両社は今回の協業を通じて、顧客向けデジタルサービスの改善、車両開発力の強化、コネクテッドサービスの安定性向上を共同で進める方針だ。

協業の主眼は、ドライバーが実際に体感できる機能の拡充と、開発・生産効率の改善にある。StellantisはAIの活用によって製品開発を加速させるとともに、予知保全アルゴリズムや効率的な走行案内機能の拡充を進める。故障の兆候を事前に検知し、より効率的な走行や車両管理の方法をドライバーに提示することを想定している。

AIも車載ソフトウェアに組み込む。Stellantisの最高エンジニアリング・技術責任者、ネド・キュリック氏は、AIがすでにエンジニアリング、製造、デザイン、顧客接点全般で活用されており、新たなデジタルキャビンや車載OSの中核にも取り入れられていると説明した。Microsoftとの協業によって、全社的なAI導入を加速し、開発や運用の効率化につなげたい考えだ。

両社はコネクティビティとセキュリティの強化も重要課題に位置付ける。StellantisはAIベースの分析を活用してサイバー攻撃への対応力を高め、コネクテッドサービスのレジリエンス向上を図る。遠隔地でも安定した通信環境とデータ保護の確保を目指し、ドライバーの信頼向上につなげる考えだ。

今回の協業は、自動車業界がソフトウェア中心へと再編される流れを映すものでもある。近年はクラウド連携や先進安全システム、大型ディスプレイの普及が進む一方、コネクテッドサービスのセキュリティや個人情報保護はなお課題として残る。物理ボタンの再評価や、従来型インターフェースを一部復活させる動きも、そうした流れの一端といえる。

こうした状況を踏まえ、Stellantisは自社単独で開発を進めるのではなく、Microsoftのクラウド、AI、セキュリティ基盤を活用する戦略を選んだ。Microsoftでコマーシャル事業の最高経営責任者を務めるジャドソン・オルソフ氏は、今回の協業について、自動車のバリューチェーン全体でAI転換をより安全かつ責任ある形で進めるための取り組みだと説明した。

両社はインフラ運用の見直しも打ち出した。サーバーの増設ではなく効率改善を優先し、2029年までにデータセンター利用量を約60%削減する目標を掲げた。AI活用を拡大しながら、コストとエネルギー負担の両面を抑える狙いがある。

今後は、こうしたAI機能が実際のユーザー体験の改善につながるかが焦点となる。Stellantisが掲げる予知保全やコネクティビティ、セキュリティ強化の取り組みは大きな可能性を持つ一方、車載ソフトウェアである以上、安定性と個人情報保護の検証は欠かせない。

キーワード

#Stellantis #Microsoft #AI #サイバーセキュリティ #コネクテッドカー #クラウド
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.