ホルマン・W・ジェンキンス・ジュニア氏(写真=同氏のLinkedInより)

Anthropicが、自社AIモデル「Claude Mythos」によって広く利用されるソフトウェアから数千件の脆弱性を発見し、政府機関や主要な民間組織に報告した。これを巡ってはAIが新たなサイバー脅威をもたらすとの見方が出る一方、The Wall Street Journal(WSJ)のコラムニスト、ホルマン・W・ジェンキンス・ジュニア氏は、むしろセキュリティ強化や事業機会の拡大につながる可能性があると論じた。

The New York Timesはこの動きを「AIがもたらすサイバー脅威」と表現した。これに対しジェンキンス氏は、Mythosは脆弱性を生み出したのではなく、すでに存在していた欠陥を悪用される前に見つけた点が重要だと指摘した。

同氏は最近のコラムで、「Mythosは脆弱性を作り出したのではなく、見つけた。この違いは重要だ。ソフトウェアの脆弱性はもともと存在しており、Mythosは悪意ある主体より先にそれを発見した。世界にとっては純損失ではなく純利益だ」と述べた。

Anthropicがこうした発見を外部に開示した背景について、同氏は資本主義のインセンティブが働いた結果だとみている。訴訟リスクや規制圧力に加え、今後のセキュリティ市場での事業機会が開示を後押ししたという。

同氏は「同じ技術が中国企業の手に渡っていれば、結果は違っていただろう。発見された脆弱性は共産党に先に報告されていたはずだ。しかも今この瞬間も、敵対的な政府や犯罪組織が同じ脆弱性を探している」と指摘した。

さらにジェンキンス氏は、MythosがAnthropicの事業面でもプラスに働くとみる。「AnthropicはMythosが見つけた脆弱性を、数十億ドル規模のセキュリティ事業につなげることができる。社会的貢献と事業利益が同じ方向を向いている」とした上で、「AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏と同社は利他的な英雄として語られがちだが、実際には資本主義のインセンティブが正しく機能した事例だ」と評した。

その上で同氏は、Mythosの事例はAIが「より低コストで、より良い判断」を実現し得ることを示した例でもあると位置付けた。政府や企業が日常的にAIを意思決定に活用すれば、根拠に乏しい楽観論や偏った見方に左右された判断を減らせる可能性があるという。

同氏は「AIは、人間が直視したがらない不都合な真実から目をそらさない。Mythosはその可能性を先んじて示した」と述べた。

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