韓国の暗号資産市場で、アルトコインに売買が集中する構図が改めて鮮明になっている。世界の暗号資産取引量の約3割を韓国の取引所が占め、そのうち約85%がアルトコイン取引だった。ウォン建て市場で生じた現物主導の値動きが、海外デリバティブ市場にも波及しているという。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが15日、こうした内容を報じた。海外市場ではビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)が売買の中心だが、韓国ではアルトコインが流動性と価格形成を左右する傾向が強い。
この構図は主要な海外取引所と対照的だ。Coinbaseなど米国投資家の利用が多い取引所では、ビットコインとイーサリアムの取引ペアが全体の約70%を占める。一方、韓国市場ではビットコインが9%、イーサリアムが6%にとどまった。
背景には、ウォン建て取引を軸とする市場構造がある。UpbitやBithumbといった韓国の取引所ではウォン建て市場が中心で、グローバルな資金フローとは別に、特定のアルトコインへ独自の流動性が集まりやすい。
韓国取引所の週間取引量は約26億6000万ドルで、規模自体は突出して大きいわけではない。ただ、特定銘柄の現物取引がグローバルなデリバティブ市場に影響を及ぼした例が確認されている。同じ期間のBinanceにおけるアルトコイン比率が約30%だったことと比べても、韓国市場の偏りは際立つ。
代表例として挙げられたのがEnjin Coin(ENJ)だ。ENJは最近、Bithumbで売買代金上位に浮上し、全取引量の20%以上がウォン建てペアで発生した。この時期に価格は過去最高値を更新し、未決済建玉(OI)も3年ぶりの高水準に跳ね上がった。
XRPと、最近売買が増えたZAMAも韓国市場の影響を受けた事例として言及された。いずれも韓国取引所で取引が膨らんだタイミングと重なって、デリバティブ市場の未決済建玉が急増した。韓国の現物市場で強まった値動きが、海外先物市場にも波及した格好だ。
もっとも、デリバティブ市場の主戦場は依然として海外取引所にある。韓国で売買が活発な銘柄でも、先物の流動性はBinanceなどグローバルプラットフォームへの依存が大きい。海外投資家は韓国市場の値動きを見極めた上で、デリバティブ市場でポジションを取っているという。
また、韓国市場は銀行規制の影響で海外投資家の直接参加が制限されている。それでも海外勢はBinanceや無期限先物プラットフォームを活用し、間接的に取引している。一方で、古くからあるアルトコインの一部には無期限先物がなく、韓国の現物市場で売買が膨らんでも、必ずしもグローバルなデリバティブ市場の拡大に直結しないケースもあるとした。
アジア全体でみると、暗号資産の取引量は過去より低い水準にとどまっている。そうした中でも韓国はアルトコイン中心の売買を維持しており、例外的な市場として残っているという。日本は週200億~300億ドル規模の比較的安定したビットコイン流動性を提供する市場と評価される一方、韓国のようなアルトコイン偏重はみられなかった。
分析では、韓国市場は暗号資産市場全体をけん引するというより、一部アルトコインに流動性が集中する構造にあると指摘した。売買が特定銘柄に集まり方向感が明確になる局面では、韓国市場がなおアルトコインの価格形成の起点として機能し、グローバルなデリバティブ市場にも影響を及ぼしているとしている。