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米靴メーカーのAllbirdsが靴事業から撤退し、AIインフラ事業へ転換すると発表したことを受け、同社株は15日に700%超急騰した。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、Allbirdsは靴事業を完全に手放し、AI向け計算資源を貸し出す事業に軸足を移す。社名も「NewBird AI」に変更し、高性能GPUを確保して開発者や法人顧客向けに提供する事業モデルへ切り替える方針だ。

Allbirdsは2021年の新規株式公開(IPO)時、企業価値を約40億ドル(約6000億円)と評価された。ただ、2026年3月には靴ブランドをAmerican Exchange Groupに3900万ドル(約59億円)で売却し、従来の主力事業を事実上整理した。

売却後の同社は、約5000万ドル(約75億円)規模の転換社債型の資金調達枠を確保したという。この資金をもとに高性能GPUを取得し、AI計算需要を持つ顧客に貸し出す構想を描く。

もっとも、同社には現時点でハードウェア、データセンター、クラウドサービスの各分野における実績や運用経験がない。新規事業への転換と資金調達計画は、5月18日に予定する臨時株主総会で承認を得る必要がある。

市場では、株価の急騰に対して実際の事業遂行力が伴っていないとの見方も出ている。アナリストのカイル・ドゥブスは「市場が評価しているのは現在の事業ではなく将来の可能性だ」としたうえで、「一夜にして運用面が変わったわけではない。変わったのはストーリーだけだ」と述べた。

同氏は、靴事業はすでに織り込み済みのテーマである一方、AIはなお期待先行で評価されやすいテーマだと分析している。

こうした動きについては、過去の“看板の掛け替え”と重なるとの指摘もある。2025年には一部の医療企業が既存事業を縮小し、暗号資産を軸とする財務戦略会社への転換を打ち出して株価を急伸させたが、その後の事業成果によって株価の方向感は大きく分かれた。

Helius Medical Technologiesは高値圏の25ドルから足元で2.31ドルまで下落。Nakamoto Holdingsは上場維持基準を満たすため株式併合を進めており、Light Strategyも低い時価総額水準にとどまっている。

Master Ventures創業者のカイル・シャッセは、今回の現象を「AI効果」と位置付ける。主力事業が揺らいだ企業が、最も注目を集めるAI分野に看板を掛け替えることで株価を押し上げる構図が繰り返されているとの見方だ。

著名投資家のジム・クレイマーも懐疑的な見方を示した。AllbirdsのGPU事業参入に幸運を祈るとしつつ、今回の事例は市場の過熱を示す最初の明確なシグナルだと述べた。

今回の株価急騰が一時的なテーマ物色に終わるのか、それとも実際の事業転換につながるのかは、株主承認後にGPUを確保し、顧客を獲得できるかどうかにかかっている。AIコンピューティング需要そのものは拡大しているものの、数十億ドル規模の投資を続ける大手クラウド企業との競争の中で、NewBird AIがどこまで競争力を確保できるかはなお不透明だ。

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