資産運用会社Bitwiseは14日、足元のBitcoin上昇について、地政学リスクの高まりが直接的な追い風になっているとの見方を示した。価値保存手段としての需要に加え、国際決済での活用可能性も織り込まれれば、長期的には100万ドルが「上限」ではなく「基準線」になり得るとしている。
ブロックチェーンメディアThe Block Cryptoによると、Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏と、Bitwise Research責任者のライアン・ラスムセン氏は、Bitcoinはリスク回避局面で相場に逆行したのではなく、むしろそうした局面そのものが上昇要因になったと分析した。
両氏が注目したのは、2月28日に米国とイスラエルの空爆が始まって以降の値動きだ。Bitcoinが12%上昇した一方、S&P 500は1%下落し、金も10%下落した。地政学的ショックが強まる場面では、Bitcoinは高リスク資産として売られるという従来の見方とは異なる動きだという。
Bitwiseはこうした状況を「混乱ははしご」と表現した。世界の金融システムの亀裂が深まるほど、中立的で非主権的な通貨への需要が高まり、その受け皿としてBitcoinが選好される可能性があるという見立てだ。
また両氏は、Bitcoinには二つの投資テーマが内包されていると整理した。一つは金と競合する価値保存手段としての側面、もう一つは国際貿易における決済通貨として利用される可能性だ。Bitwiseは、市場がこれまで後者を十分に評価してこなかった一方で、足元ではその現実味が増しているとみている。
その背景として挙げたのが、金融インフラの「武器化」だ。2022年にロシアが国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網から排除されて以降、貿易の流れは中国主導の代替システムへ一部移り始め、ドルの影響力も弱まりつつあると分析する。こうした変化が、非ドル建ての決済ネットワーク拡大の余地を広げているという。
最近の中東情勢も、その方向性を示す事例として取り上げた。イランがホルムズ通行料の支払い手段としてBitcoinを受け入れる意向を示したことが代表例だとした。制裁は依然として機能しており、ブロックチェーンの特性上、不正利用にも限界はあるものの、各国が既存の金融システムを迂回し得る非政治的な代替手段を模索し始めたというシグナル自体が重要だと指摘した。
Bitwiseは、Bitcoinの通貨利用の可能性をオプションにたとえた。現時点では価格に十分織り込まれていないが、採用確率が高まり、世界的なボラティリティ上昇が続くほど価値が増す「アウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション」に近いという。足元ではこの二つの条件が同時に強まっており、Bitcoinの評価フレームそのものが変わる可能性があるとしている。
Bitwiseは、Bitcoinの役割も変わりつつあるとみる。流動性相場に左右される投機資産ではなく、地政学的な混乱に備えるヘッジ資産として機能し得るという見方だ。価値保存需要にとどまらず、世界の取引フローの一部まで取り込むようになれば、現在の長期価格目標はその潜在力を十分に反映していないとし、100万ドルが上限ではなく基準線となるシナリオを示した。
中東の軍事的緊張と米国の根強いインフレが続く中、市場ではBitcoinを単なるリスク資産としてみるのか、それとも新たな地政学ヘッジとして位置付けるのか、見直しが進みつつある。