写真=4月15日の記者懇談会で説明するチョ・ギュゴンFasooAI代表

データセキュリティを主力とするFasooは4月15日、社名を「FasooAI」に変更し、AI転換(AX)支援を中核とする事業構造へ移行すると発表した。あわせて、エージェント中心のAX戦略と関連プラットフォームを打ち出し、米国法人も再編する。

同日、ソウル・汝矣島のフェアモント・アンバサダーで記者懇談会を開いたチョ・ギュゴン代表は、「Fasoo.comとして出発し、その後Fasooへ社名を変えてから7年がたった。今後はFasooAIとして新たな段階に進む」と説明した。そのうえで、「ドットコムの時代に創業し、AIの時代まで事業を発展させてきた」と述べた。

同社が掲げるのは「持続可能なAX(Sustainable AI Transformation)」だ。企業がAI投資の費用対効果(ROI)を実際に確保できるよう、エージェントを軸とした導入・活用を支援する構想としている。

AXの進化段階は3つに整理した。第1段階は、AIを補助ツールとして活用する「AI assistant」。第2段階は、エージェントが業務を担い、人が監督する「Business-ready agent」。第3段階は、複数のエージェントが連携して動く「Agent orchestration」と位置付ける。

狙いは生産性の向上だ。チョ代表は「多くの企業はまだ第1段階にとどまっており、それでもAIを十分活用していると考えがちだ」と指摘。「だが、アシスタントの水準にとどまるだけでは、企業の生産性向上にはつながりにくい」と述べた。米調査会社Gartnerが、2028年までに企業の半数超はAI投資から測定可能な事業価値を生み出せないと予測していることにも触れ、「エージェントの段階へ早く進まなければ、成果は限定的になる」との見方を示した。

同社はROIだけでなく、リスク管理の重要性も強調した。チョ代表は「エージェントは社内情報に広くアクセスし得る存在であり、何を外部に流出させるか分からないという点で、従来の内部脅威より複雑だ」と説明。AIを悪用するハッカーについても、「その規模と速度は従来とは次元が違う」と警戒感を示した。

Anthropicが最近公開した「Claude Mythos」が既存のセキュリティ市場に与える影響については、「こうした脅威は以前から予告されていた。市場がようやく現実のリスクとして認識し始めた段階で、当社にとってはむしろ好機だ」と語った。

その理由として挙げたのが、対象領域の違いだ。Mythosがソフトウェアコードの脆弱性を検出するツールであるのに対し、FasooAIの中核はデータアクセス制御や権限管理にあり、誰がどの情報にアクセスできるかを扱う。チョ代表は「データや文書のセキュリティへの影響は大きくない」とする一方、「アプリケーションセキュリティの領域には相応の影響がある」との認識を示した。アプリケーションセキュリティ製品「Sparrow」は、こうした変化を見据えて開発を進めているという。

同社はAXを支える3つのプラットフォームも紹介した。

「Ellm」は、エージェント構築向けのAXプラットフォームで、サブスクリプション方式で提供する。昨年末には、検索拡張生成(RAG)やエージェントオーケストレーション、セキュリティ機能を組み込んだバージョン2.0を投入した。チョ代表は「新たな大規模言語モデル(LLM)が登場した際に、どれだけ迅速に取り込めるかがプラットフォーム競争力の核心だ」と述べた。導入事例としては韓国科学技術研究院(KIST)を挙げ、研究者がプロジェクト提案書を自動作成する用途で採用したと説明した。

「Wrapsody」は非構造化データ向けプラットフォームで、AI学習やエージェント連携に必要なデータの整理・管理を担う。チョ代表は「非構造化データは部門ごとに分散し、権限管理も複雑化しやすいため、LLMと直接つなぎにくい。ここを解決することが、AI転換の実質的な出発点になる」と語った。

「Sparrow」はアプリケーションセキュリティ製品で、静的アプリケーションセキュリティテスト(SAST)、動的アプリケーションセキュリティテスト(DAST)、ソフトウェア構成分析(SCA)にAIエンジンを組み合わせた構成を採る。AIを活用した脆弱性検知の高度化を進めているという。

米法人をSymbologicに再編、来年末の黒字化を目標

FasooAIは米国法人FasooLinkを、AXコンサルティングに特化した「Symbologic」に再編する。Fasooと米AIコンサルティング企業Konsilixの強みを組み合わせた組織で、GoogleやAmazon出身の人材で構成するとした。

イ・ジス最高財務責任者(CFO)は、「Fasooが過半の持分を保有し、経営判断でも当社が重要な役割を担うため、会計上の連結は継続する。Symbologicの損益は当社業績に反映される」と説明した。行政手続きは現在進行中としている。

グローバル戦略では、短期的には既存顧客を中心に、長期的には中堅企業の開拓を狙う。Palantirなどが大企業市場に注力するなか、FasooAIはミッドマーケットを主戦場に据える方針だ。チョ代表は「Palantirのような大手プレイヤーがエンタープライズ市場を強く攻めている一方で、ミッドマーケットは事実上の空白地帯だ。そこに機会がある」と述べた。

Symbologicは足元で純損失20億ウォン(約2億円)を計上しており、来年末の黒字転換を目標に掲げた。

AIバブル論についても、チョ代表は「AIはバブルではない」と断言した。「バブルであれば技術進歩は鈍化し、投資も縮小するはずだが、現状は逆だ。この変化は1〜2年で終わるものではない。持続可能な転換を設計しなければ生き残れない」と述べた。

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