ドナルド・トランプ米大統領のMar-a-Lagoでの招待イベントを前に、ミームコイン「TRUMP」で大口保有者による買い増しが続いている。ただ、相場の反応は鈍く、価格は3月の発表直後に付けた高値から33%超下落した。
Cointelegraphが13日(現地時間)に報じたところによると、大口保有者(クジラ)は今月フロリダ州のMar-a-Lagoで開かれる会合への招待対象に入ることを狙い、TRUMPの買い集めを進めている。
イベントは4月25日に開催される予定だ。TRUMPの保有上位297人が招待され、このうち上位29人は非公開レセプションにも参加できる。案内には、トランプ大統領が基調講演を行うと記載されている。同日にはワシントンD.C.でホワイトハウス記者協会の晩餐会も予定されている。
オンチェーン分析企業Lookonchainによると、あるクジラ投資家は12日、Binanceから10万5754TRUMPを引き出して買い増した。このウォレットの保有残高は計113万TRUMPとなり、時価は約320万ドル(約4億8000万円)に達するという。
これに先立つ2日前には、別のクジラがBybitから85万488TRUMPを出金した。さらに10日にも、別のクジラがBybitから同じく85万488TRUMPを引き出していた。
13日にも大口の買いは続いた。Solscanによると、ある保有者はBitMartからの出金後、保有量を36万8000TRUMP超に増やした。別のクジラもBybitからの出金を経て、保有量を100万TRUMP超へと積み増した。
一方で、価格は軟調に推移している。TRUMPは3月にイベント開催が発表された直後、4.35ドルまで上昇したが、13日時点では2.80ドルで取引されており、高値から33%超下落した。
Zeus Researchのアナリスト、ドミニク・ジョン氏は、個人投資家中心の売りが薄い流動性を上回り、価格の上値を抑えていると分析する。内部関係者の保有分がなお重荷だとして、「集中したウォレットから少量の分配分が放出されるだけでもクジラの買いを吸収し、大幅な上昇は制限され得る」と指摘した。
もっとも、ジョン氏は反発の余地もあるとみている。2026年の米中間選挙が投資家心理を刺激する可能性があるほか、追加の好材料が重なれば相場の下支えにつながるとした。
短期材料としては、「Trump Billionaire Game」のようなイベント性のあるローンチの可能性にも言及した。こうした催しが、短期的な上昇モメンタムに必要なSNS上の話題を生み出す可能性があるという。
保有の集中度も高い。データ分析プラットフォームCoinCarpによると、TRUMPの保有者は64万2882人に上るが、総供給量の91%超が上位10ウォレットに集中している。上位100ウォレットでは97%超を占める。少数のウォレットの動向が価格に与える影響は大きい構造だ。
政治面での反発も続いている。批判派は、トランプ大統領が当該トークンの仕組みを通じて公的地位を私益に利用していると主張してきた。民主党議員は、ミームコインを通じた政治的影響力の行使や収益化を制限する法案も提出している。
TRUMPは過去にも似た値動きを見せている。トランプ大統領は2025年5月、初の「crypto gala」晩餐会を開いたが、この際も利益相反を巡る論争が起きた。トークン価格はイベントの約1カ月前に15.59ドルまで上昇したものの、開催が近づくにつれて下落し、イベントから1カ月後には8.90ドル前後まで値を下げた。
今回の動きは、大口の買い集めが続いてもトークン価格の上昇に直結するとは限らないことを改めて示している。保有の集中度が高く流動性も薄い市場では、イベントへの期待以上に、ウォレット分布や実際の売り圧力が価格形成を左右しやすい。
LookonchainはXへの投稿で、「トランプ氏のイベントを前に、クジラが$TRUMPを買い集めている。ウォレット『8DHkza』は過去2日間でBybitから85万488TRUMP(240万ドル=約3億6000万円)を出金した。ウォレット『7EtuAt』も17時間前にBinanceから10万5754TRUMP(29万8000ドル=約4470万円)を追加で引き出し、現在は113万TRUMP(320万ドル=約4億8000万円)を保有している」と説明した。