写真=Circle

Circleのジェレミー・アレア最高経営責任者(CEO)は、イランがホルムズ海峡の通行料決済にUSDCを利用する可能性は極めて低いとの見方を示した。制裁対象となる主体は凍結リスクの高い資産を選びにくく、ハッキングなど緊急時の資産凍結も、現行制度では当局や裁判所の指示が前提になると説明した。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、アレア氏は13日(現地時間)、ソウルで記者懇談会に出席し、制裁下にある主体が容易に凍結され得る手段を使う可能性は低いと述べた。

イラン革命防衛隊がホルムズ海峡の通行料をUSDCで受け取る可能性について問われると、アレア氏は否定的な認識を示した。Circleは高水準のコンプライアンス体制を敷いており、法執行機関や制裁当局とも緊密に連携していると説明した。

その上で、国連の公開情報やブロックチェーン・フォレンジック企業の調査を踏まえると、制裁対象の行為者はUSDCではなく、別のステーブルコインを選ぶ傾向があると指摘した。具体的なトークン名には言及しなかった。

アレア氏は「制裁を受ける主体が、資産を即座に凍結される可能性の高い手段を選ぶ公算は非常に小さい」と述べ、USDCは規制順守を前提とした設計であり、制裁回避の手段としては使われにくいとの見方を示した。

一方、今月初めに発生したDrift Protocolのハッキングを巡るCircleの対応についても説明した。攻撃者は盗み出したUSDC2億3000万ドル超(約345億円)を6時間かけてSolanaからEthereumへ移し、被害総額は2億8500万ドル(約428億円)に上ったという。

この過程でCircleが資金を直ちに凍結しなかったとして批判が出ていた。これに対しアレア氏は、Circleが自社判断だけでウォレットを凍結できるわけではないと強調した。

アレア氏は、企業が何を正当とみなすかを独断で決めるべきではなく、民間企業にそうした判断を委ねる仕組みはモラル上のジレンマを生むと指摘。現行の枠組みでは、法執行機関や裁判所の指示があって初めて凍結措置を講じられると説明した。

もっとも、制度的な空白があることは認めた。Circleは米国の「CLARITY Act」に、極端な事態では発行体が先行的に資金を凍結できるセーフハーバー条項を盛り込むよう求めているという。

アレア氏は、その権限は企業の恣意的な判断に委ねるのではなく、規制として明文化されるべきだと述べた。

CLARITY Actの別の論点である、ステーブルコインの利息付与を巡る規定については、Circleへの直接的な打撃にはならないとの見方を示した。同規定は、ステーブルコインを保有しているだけで利息を受け取れる仕組みを禁じる内容だと説明した。

その上で、すでに「GENIUS Act」が、ステーブルコイン発行体による保有者への利息支払いを禁じていると述べた。

影響は、取引所やウォレットなど流通を担う事業者に集中するとの見方も示した。利用活動に応じた報酬の提供は可能でも、ステーブルコイン保有を銀行預金の代替のように訴求し、利息を付けるモデルは難しくなるとした。

さらに、この論争は過度に誇張されているとも指摘した。世界のステーブルコイン保有者の大半は、もともと報酬を受け取っていないと説明した。

あわせて、世界のM2マネーサプライ120兆ドル(約1京8000兆円)のうち、およそ半分が現金や無利子口座として保有されている点にも言及した。

今回の発言は、USDCが制裁回避の手段として使われにくいというCircleの立場を改めて示すとともに、ハッキングなど非常時に発行体がどこまで介入できるかを巡る制度上の課題も浮き彫りにした。

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