AIの性能向上そのものより、社会システムへの浸透スピードに警鐘を鳴らした。写真=Shutterstock

元Google Xのモ・ガウダット氏は、2020年に示したAI関連の予測のうち3項目がすでに現実になりつつあるとの見方を示した。AIの普及はもはや後戻りできない段階に入り、AIによる意思決定の拡大や人間の能力の代替が進んでいると指摘している。

Business Insiderによると、同氏は4月10日(現地時間)のインタビューで、AIの普及の不可逆性、機械による意思決定領域の拡大、人間の能力の代替を主要な変化として挙げた。

同氏は、AIの普及は国家や企業の競争構造と結びついており、もはや止めることはできないと説明した。「AIは不可避で、止める方法はない」と述べ、その状況を「AIの軍拡競争」に例えた。技術がすでに有用性を証明した以上、導入の流れを逆転させるのは難しいという認識だ。

AIが担う意思決定の範囲も広がっている。ガウダット氏は、AIシステムがすでに人々の日常行動に深く関与しているとし、「今撮影しているこの映像を誰かが見ているなら、それはAIがその人に推薦したからだ」と語った。

推薦アルゴリズムのように生活に浸透したAIがさらに速いペースで広がれば、人間だけでは処理しきれない領域まで判断が委ねられる可能性があるというのが同氏の見立てだ。

同氏はまた、特定の業務ではすでにAIが人間を上回っていると指摘した。2017年のAlphaGo Zeroを例に挙げ、人間の介入なしに学習したシステムが短期間で従来の最高水準を超えたと説明。最近のAIも、大量のデータとニューラルネットワークを基盤に知識を急速に蓄積し、人間の水準に近づいていると分析した。

こうした変化は労働市場にも影響を及ぼす見通しだ。同氏は、分析業務や技術系業務の一部をAIが代替することで、人間の役割は判断、倫理、関係性といった領域へ移る可能性があるとした。一方で、自動化が進めば一部の分野では失業率が大幅に上昇する恐れがあると警告した。

AIがもたらす別の影響として、情報への信頼低下も挙げた。同氏は「AI生成コンテンツが急増し、何が本物なのか見分けにくくなる状況が訪れる可能性がある」と述べ、こうした変化がメディアや制度、個人間の信頼にも波及し得ると指摘した。

さらに、最近の大規模なテック業界の人員削減や停電、それによってAmazonの注文12万件が失われた事例に触れ、こうした混乱はまだ始まりにすぎないとの認識を示した。経済システムと情報ネットワークが同時に圧力を受ければ、社会は仕事や価値、真実の基準そのものを改めて整理せざるを得なくなる可能性があるという。

もっとも、短期的なリスクの核心は技術そのものではなく、その使い方にあると強調した。偽情報の拡散や監視、対立の増幅にAIが使われれば問題はさらに大きくなり得るとし、AIがもたらす結果は技術の進歩の速さ以上に、それをどう扱うかという人間の選択に左右されると説明した。

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