中東紛争の影響が、テクノロジー分野の投資マインドや供給網に広がっている。AIデータセンター計画や半導体サプライチェーンへの懸念が強まっており、2週間の休戦で合意した後も、中東を投資先とみる市場の見方には不透明感が残っている。CNBCが10日(現地時間)に報じた。
影響はすでに供給面で表れている。半導体製造などに使われるヘリウムの輸出は大幅に減少し、海上輸送の混乱によって、欧州企業の一部ではアジア発の半導体輸送に遅れが出ている。紛争が長引けば、中東で進むデータセンターやAIインフラ案件を巡る不確実性は一段と高まる可能性がある。
市場では、短期的な投資マインドの悪化は避けにくいとの見方が出ている。Morningstarのチーフ株式ストラテジスト、マイケル・フィールド氏は、各国が国家安全保障をこれまで以上に重視すれば、国境をまたぐ投資が減る可能性があると指摘した。Rathbonesのシニアリサーチアナリスト、サイモン・ラプソン氏は、戦争の影響が地域外にも及び、投資判断や市場の信頼を損なう恐れがあるとみている。
当事国や周辺国では、AIデータセンター建設の優先順位が下がる可能性もある。一方で、湾岸地域の技術プロジェクトについては、需要後退というよりも、計画の遅れが主な影響だとする分析もある。
中東各国が進めるAIハブ戦略にも調整圧力がかかっている。CSS Insightの技術産業アナリスト、イアン・フォグ氏は、中東のデータセンターが攻撃対象となるリスクを踏まえると、他地域向けの処理を担う大規模AI拠点としての位置付けは弱まりかねないとみる。一方で、域内のAI需要は引き続き堅調で、投資の採算性も、湾岸協力会議(GCC)地域の需要や現地の消費者・企業向け用途に軸足が移る可能性があると分析した。
もっとも、資金流出が一方向に進むとは限らない。International Data Center AuthorityのCEO、メフディ・パラヤビ氏は、一部企業が投資先を欧州、中南米、アジア太平洋に分散する可能性に触れつつも、中東は資源が豊富で無視できない地域だと述べた。GAM Investmentsのグローバル株式責任者、ポール・マーカム氏も、現地の政府系ファンドが今後も域内の設備投資案件に資金を投じるとの見方を示した。
影響は中東域外にも及ぶ可能性がある。エネルギー価格の上昇は、時間差を伴って世界経済やテクノロジー製品の需要に影響しうるうえ、電力コスト負担の大きいデータセンター運営企業には逆風となる。ヘリウムは主要コスト要因ではないものの、供給に支障が出ればチップ生産の制約につながり、幅広い産業に波及するとの懸念もある。