写真=NVIDIA

AnthropicのAIコーディングエージェント「Claude Code」の内部ソースコード流出をきっかけに、AI向けメモリ需要が従来の想定を上回る可能性が浮上した。公開されたコードからは、常時稼働するAIエージェントがサーバー側だけでなく利用端末側でも大きなメモリを消費する構造が見えてきた。

米セキュリティ企業FuzzlandのCTO、チャオファン・ショウ氏は3月31日、npmレジストリで配布されたClaude Codeのバージョン2.1.88パッケージに、内部デバッグ用のソースマップファイルが含まれていることを確認し、公表した。これにより、51万2000行のコードベースが外部から参照可能になった。

Anthropicはこれに対し、顧客データや認証情報は含まれておらず、セキュリティ侵害ではないと説明した。原因については、パッケージング工程における人的ミスとしている。

流出コードから確認されたメモリ使用量は、待機時でも15GBに達する。実際の利用時には最大でその8〜9倍まで膨らむ。これらはサーバーではなく、開発者のPC1台で確認された数値だ。

メモリ消費が大きい背景には、Claude Codeの動作構造がある。同サービスは自然言語の指示を受けると、AIが必要なツールを判断し、権限確認を経て実行したうえで、その結果を踏まえて再び判断を重ねる。この処理を繰り返す設計になっている。

コード内には「KAIROS」機能も確認された。ユーザーが介在しなくてもバックグラウンドで処理を継続する常時エージェントモードで、利用者が席を外している間もClaude Codeが動作し続けるため、メモリを継続的に占有する。

さらに「AutoDream」は、ユーザーの休憩中に蓄積された作業履歴を整理するため、別のClaudeセッションを追加で起動する機能とされる。利用者が操作していない間も履歴整理のための推論処理が走る構造で、整理の高度化に応じて演算量とメモリ消費も増える。

このほか、Claudeが一度に処理できる対話コンテキスト量を従来比5倍に拡大する機能も実装されている。処理する文脈量が増えれば、一時保存に必要なサーバーメモリも同じ比率で増える。1人のユーザーが同時に5〜15個のエージェントを動かすマルチエージェント構成に、KAIROSの常時セッションが重なれば、ユーザー当たりのメモリ消費は利用者数に単純比例しない形で膨らむ可能性がある。

■NVIDIA・ArmのCPU重視を裏付け

これまでAIメモリ需要の分析は、H100やB200向けの高帯域幅メモリ(HBM)など、サーバーインフラを中心に進められてきた。需要もユーザー数の増加におおむね比例する前提で見積もられてきたが、実際にはそれ以上のメモリが必要になる可能性がある。

初期の生成AIは、ユーザー入力に対して応答を返す比較的単純な形が中心で、ボトルネックもGPUによる演算処理に集中していた。これに対し、Claude Codeのように自律的に動くAIエージェントのワークロードは多層的だ。流出コードが示したように、依頼内容を解釈し、外部ツールを呼び出して実行し、その結果を反映して追加判断を繰り返す構造になっている。

この過程では、処理順序の調整、データベースへのアクセス、外部ツールの呼び出し、セッション管理、メモリ管理などをCPUが担う。GPUがAIの推論処理そのものを受け持つのに対し、CPUは全体の制御を担う役割を果たす。流出したソースコードに含まれていたKAIROSとAutoDreamは、こうした多層実行構造の一端を示した例といえる。

NVIDIAやArmがCPUの重要性を強調してきた背景も、今回の流出コードによって具体性を帯びた。ユージン投資証券によると、NVIDIAは最適なデータセンタークラスター向けラックシステムとして「Vera Rubin Pod」を提示した。NVL72ラックで33%だったCPU比率は、Vera Rubin Podでは49%まで高まったという。Vera向けCPUラックを別途投入したことも、AIエージェント普及に伴うメモリボトルネックを見据え、CPUの重要性が増していることを反映した動きとみられる。

Armも、AGI CPUをラックシステムとして提供する計画を明らかにしている。ユージン投資証券によれば、ArmはAIエージェント市場の立ち上がりを背景に、データセンター向けCPU市場が2030年までに1000億ドル規模に達すると見込む。今後5年以内にAGI CPUの売上高が年間150億ドルに達するとの同社予想も、同じ流れの中にある。

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