米宇宙企業SpaceXが新規株式公開(IPO)に向け、米証券取引委員会(SEC)に申請書類を非公開で提出したと報じられた。上場時の企業価値は1兆7500億ドル(約262兆5000億円)に達するとの見方も出ている。
Bloombergの報道を引用したTechCrunchによると、SECの規定では未上場企業は投資家向けロードショー開始の15日前まで、IPOの登録届出書を非公開で提出できる。
Reutersによれば、SpaceXは社内で「Project Apex」と呼ぶIPO準備を進めており、主幹事団には21行を起用したという。
調達額は、公募で750億ドル(約11兆2500億円)規模を目指す案が報じられている。実現すれば、2019年のSaudi Aramcoの290億ドルのIPOを大きく上回る規模となる。
一方で、SpaceXは未上場のままでも約100億ドル(約1兆5000億円)を調達してきたとみられている。
SpaceXは2002年設立。再利用型ロケットと宇宙船の開発・運用を手掛けるほか、約1万基規模の衛星通信網「Starlink」も展開している。
2月には、イーロン・マスク氏のAI企業xAIを企業価値1兆2500億ドル(約187兆5000億円)と評価した取引を通じて取り込んだとされる。マスク氏の企業群には、xAIのほか、SNSのX(旧Twitter)も含まれるという。
マスク氏はこれまで「宇宙船が火星に到達するまでは上場しない」と述べてきたが、最近は目標を月探査に修正したとも伝えられている。ここ数カ月では、最大100万基のデータセンター衛星を宇宙空間に配備する構想も示した。
こうした大型投資を進める中で、SpaceXは「Starship」の開発、Starlinkの周波数確保と衛星更新、さらにxAIの深層学習モデルの構築・運用に必要な計算コストの確保といった重い資金需要を抱えている。
今回のIPO観測は、マスク氏が長年維持してきた未上場方針に転機が訪れるのかという点でも注目される。Starship開発やStarlinkの拡張、xAI向け計算インフラの確保など巨額投資が続く中、上場が現実味を帯びれば、マスク氏の企業群全体の資金調達戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
もっとも、非公開提出だけで上場が確定したわけではない。実際の公募時期や企業価値、調達規模は市場環境や会社側の最終判断で変わる可能性があり、SpaceXが本格的な上場手続きに踏み切るかどうかはなお見極めが必要だ。