今週の暗号資産市場では、相場の方向感を左右しかねない5つの警戒材料が同時に浮上している。Binance Researchは、中東情勢の緊迫化、米国のステーブルコイン規制、米証券取引委員会(SEC)による暗号資産ETF審査の遅れ、主要経済指標の発表、株式市場の流動性要因が重なり、市場の変動性を高める可能性があると分析した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが報じた。Binance Researchはレポート「Geopolitical and Macro Pulse」で、地政学、規制、マクロ経済の複数要因が今週の暗号資産市場に同時に影響し得ると指摘している。
足元の市場環境も不安定だ。ボラティリティ指数(VIX)は上昇し、S&P 500とNasdaq総合指数はそろって下落。リスク資産全般で値動きの荒さが強まっているという。
同じ期間に原油価格は上昇基調をたどった一方、イーサリアム(ETH)の戻りは限定的だった。Binance Researchは、暗号資産だけが独立して安定した値動きを維持するのは難しい局面だとみている。
第1の要因は、中東情勢の緊迫化だ。米中央軍(USCENTCOM)によると、強襲揚陸艦「USS Tripoli」は米軍約3500人を乗せて中東に展開。イエメンのフーシ派による弾道ミサイル発射も重なり、地域の緊張が高まっている。
レポートは、イランを巡る米国とイスラエルの対立が本格化すれば、エネルギー価格の上昇とリスク回避姿勢の強まりが同時に進む可能性があるとした。予測市場では、停戦や主要海上ルートの正常化に対する見方が弱く、不確実性が織り込まれているという。
こうした警戒感は予測市場の数値にも表れている。Binance Researchによると、Polymarketでは「4月末までの停戦」の確率が32%、「ホルムズ海峡の正常化」は21%にとどまっている。
第2の要因は、ステーブルコイン規制を巡る動きだ。米上院で議論されているCLARITY Actの最新草案には、ステーブルコイン保有者に利息収入を付与する「Passive Rewards」の禁止条項が盛り込まれ、市場に衝撃が走ったという。
レポートによれば、この内容の公表後、Circleの時価総額は短期間で大きく縮小した。一方で、トークン化に関する公聴会では超党派の支持も確認されており、今後の採決に進む可能性は残されているとしている。
第3の要因は、SECによる暗号資産ETF審査の遅れだ。Binance Researchは、SECが3月27日の期限を過ぎても、審査中の暗号資産ETF申請91件について最終判断を示していないと指摘した。
承認の可否や判断の先送り次第では、市場の変動性が一段と高まる可能性がある。特にXRPやSolana(SOL)関連ETFへの期待が続くなか、関連発表は短期的な価格変動を招きやすい材料と位置付けた。
第4、第5の要因として挙げたのが、マクロ経済指標と流動性環境だ。今週はジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言に加え、雇用動態調査(JOLTS)や非農業部門雇用者数(NFP)の発表が予定されている。
これらの指標は金利見通しや流動性見通しに直結し、リスク資産への選好を左右する可能性が高い。同時に、自社株買いを手控えるブラックアウト期間が4月末まで続くことも、株式市場の需給面で重荷になると指摘した。
Binance Researchは、投資家に対し、個別ニュースに一喜一憂するのではなく、規制文言の変化や政策日程、資金フローを含めて総合的に点検する必要があると強調している。