ビットコイン(BTC)の値動きが荒くなる中、底値を見極めるのではなく、買い圧力の流入を確認してからエントリーするAIベースの売買戦略が注目を集めている。ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが現地時間19日に報じた。
Standard Charteredでデジタル資産リサーチを統括するジェフ・ケンドリック氏は、ビットコインについて、6万ドルを下回る水準では買い妙味が高まる可能性があると指摘した。一方で、5万ドルまで下落するリスクもあるとしており、足元の相場は上値余地と下落リスクが併存する不透明な局面にあるとの見方を示した。
こうした方向感の乏しい相場では、正確な底値を当てにいく戦略そのものがリスクになりやすい。このため一部のトレーダーは、最安値を狙うのではなく、市場構造の回復を確認したうえで買いに入る手法を選好しているという。
その代表例として挙げられたのが、BeInCryptoが開発した「Accumulation Cycle(蓄積サイクル)」モデルだ。このモデルは底値を予測せず、(1)価格が主要水準を回復する、(2)上昇モメンタムが形成される、(3)追加下落が一服して価格が安定する――という3条件がそろった場合に限り、買いシグナルを出す。下落の停止と上昇転換を確認してから入る保守的な手法と位置付けている。
実際の相場でも、その特徴が表れている。2026年2月にビットコインが6万ドルまで下落した局面では、シグナルは点灯しなかった。相場がなお弱含みだったためだ。その後、3月中旬に7万ドルを回復して初めて買いシグナルが出され、上昇転換の初期シグナルと受け止められた。
2025年11月にも同様の動きがみられた。当時、ビットコインは約8万500ドルまで下落したが、モデルは反応しなかった。その後、約8万4600ドルを回復した時点でシグナルが発生し、価格はその後約9万2800ドルまで上昇した。同社は、このサイクルで約8%台の上昇局面を捉えたとしている。
同モデルの特徴は、正確な底値ではなく、安定した上昇局面を狙う点にある。BeInCryptoによると、シグナルの多くは8〜12%程度の比較的安定した上昇局面の捕捉に集中しており、一部では30〜60%の上昇サイクルも識別したという。
このアプローチは、オンチェーンデータともおおむね整合するという。長期保有者のネットポジション変化を示す指標では、売り圧力がピークアウトして和らぐタイミングと、買いシグナルが重なるケースが多かった。単なる価格変動ではなく、実際の資金フローに裏付けられたシグナルだと分析している。
足元のサイクルでも、同様の流れが観測されている。3月中旬に買いシグナルが出た後、長期保有者のネット買い越しが続いており、終了シグナルはまだ確認されていない。BeInCryptoは、現在の上昇サイクルがまだ終わっていない可能性を示している。
専門家は、ビットコインは一直線に上昇する資産ではなく、上昇と調整を繰り返すサイクル構造を持つと指摘する。AIベースの売買モデルは、極端なタイミングを狙うよりも、変動の中で勝率の高い局面を見極めるためのツールとして活用できるという。
この戦略は相場を予測するというより、相場の変化を確認して対応する手法に近い。方向感が見えにくい局面では、勘に頼るのではなく、構造的なシグナルに基づいて売買判断を下す動きが広がっている。