大口のDeFi取引では、流動性やスリッページの確認が欠かせない。画像=Reve AI

暗号資産市場で、約5000万ドル規模のトークンをスワップしようとした投資家が、資産価値の大半を失う事案が起きた。単一取引で99%超のスリッページが発生したとされ、分散型金融(DeFi)における大口取引のリスクを改めて浮き彫りにした。

CoinDeskが現地時間12日に報じたところによると、当該ユーザーは約5043万ドル(約75億6450万円)相当のEthUSDTをaEthAAVEに交換しようとした。だが、取引の過程で極端なスリッページが発生し、価値は約3万6000ドル(約540万円)まで急減。最終的にウォレットに残ったaEthAAVEは約327枚だった。

問題の取引は、Aave関連の資産を別のトークンへスワップする過程で発生した。実行には、分散型の取引経路最適化プラットフォームであるCoW Protocolが使われたとされる。

原因は現時点で特定されていないが、市場では異常なスリッページが主因になった可能性が指摘されている。スリッページは想定した約定価格と実際の約定価格の差を指す。特に大口注文を流動性の乏しいプールで執行した場合、価格が大きく崩れ、想定を大幅に下回る条件で約定することがある。

一方で、注文設定の誤りやルーティング上の不具合を原因視する見方もある。DeFiの取引は複数のスマートコントラクトをまたいで処理されるケースが多く、経路が複雑になるほど想定外のエラーが起きる余地も広がる。

Aave創業者のスタニ・クレチョフ氏は、この件について、ユーザーが約5000万ドル規模のスワップを試みた際、画面上には異常なスリッページ警告が表示されていたと説明した。ユーザーはモバイル端末で警告を確認したうえで取引を実行したとみられるという。また、取引に伴って発生した約60万ドル(約9000万円)の手数料については、返還する意向を示した。

もっとも、今回の損失は単一案件としては極めて大きいものの、市場全体への影響は限定的とみられる。取引後に残ったaEthAAVEは約327枚にとどまり、市場全体の流動性や時価総額を揺るがす規模ではないためだ。

それでも今回の事案は、DeFiで巨額資産を動かす際、流動性の厚みやスリッページの設定を十分に見極める必要があることを改めて示した。自動化されたアービトラージボットや複雑な取引経路が絡む市場では、小さな設定ミスや流動性不足が、数千万ドル規模の損失につながりかねない。

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