InterBattery 2026のLG Energy Solutionブース。写真=LG Energy Solution

ソウルで11日、国際電池展示会「InterBattery 2026」が開幕した。中国メーカーの台頭で韓国電池各社の世界シェア低下や稼働率悪化が続くなか、会場では全固体電池、エネルギー貯蔵システム(ESS)、LFP正極材、ロボット・UAM向け電池などを軸とする巻き返し戦略が前面に押し出された。

会期は11日から13日まで。会場のCOEXには14カ国667社が出展し、ブース数は2382と過去最大規模となった。海外からの参加企業は約180社に上る。来場者数も2023年の6万1787人、2024年の7万508人、2025年の7万7102人と3年連続で増加している。

開幕にあたり、Posco Future Mのオム・ギチョン代表は韓国電池産業協会長として、「かつては韓国3社の合計シェアが50%を超えていたが、いまは17~18%にとどまる」と述べ、業界の危機感をあらわにした。

会場では、韓国勢がなおハイニッケル系で品質の安定性に強みを持つ一方、製品ロードマップや性能面では中国勢との差が縮小しているとの見方も聞かれた。オム代表は「サプライチェーン問題と保護主義の強まりが、Kバッテリーの危機として迫っている」と指摘した。

国会産業通商資源委員会のイ・チョルギュ委員長もブース視察後、「技術で圧倒的な優位を持たなければ、価格競争の面で世界市場を戦い抜くのは難しい」と語った。

業績面でも逆風は強い。北米で電気自動車(EV)需要の伸びが鈍化し、韓国の電池・素材メーカーでは稼働率低下が進んでいる。LG Energy Solutionが12日に開示した事業報告書によると、2025年の生産設備の平均稼働率は47.6%で、2024年の57.8%から10ポイント超低下した。50%を下回るのは初めてで、2023年以降3年連続の低下となった。

もっとも、展示会場を覆っていたのは悲観論だけではない。各社は危機を認めつつも、中国勢への対抗策として具体的な成長分野と技術ロードマップを相次いで示した。オム代表は「Kバッテリーのエコシステムがワンチームとなれば、この危機は克服できる。全固体をはじめとする次世代電池で再び中国を上回らなければならない」と述べ、企業と政府が連携して実効性のある戦略を進める考えを示した。

会場では、Samsung SDI、LG Energy Solution、SK On、Posco Future Mのほか、素材・部材・装置各社もそれぞれの重点分野を打ち出した。焦点となったのは、全固体電池、ESS、ロボット・UAM向け電池、そしてLFP分野への参入だ。

今年の主要テーマの一つがESSである。EV市場の減速を受け、再生可能エネルギーの拡大やAI関連インフラ需要を背景に成長が続くESSが、新たな収益源として注目を集めた。会場では、米国の関税政策やEU電池規則など通商環境の変化への対応策も議論され、電池大手3社の購買担当者が参加する協力会社向けの購買相談会も開かれた。

次世代電池の本命として各社が前面に出したのが全固体電池だ。LG Energy Solutionは硫化物系全固体電池の実セルを初めて展示し、EV向け黒鉛系については2029年、ロボット・都市航空交通(UAM)向けの無負極系については2030年の商用化ロードマップを示した。展示では「リチウムイオン電池(LIB)の限界を超える高エネルギー密度と急速充電」を訴求し、実セルに加えてモックアップ用モジュールも公開した。ロボティクス関連ブースでは、サービスロボット、ヒューマノイド、産業用ロボット向けの全固体セルも披露した。

Samsung SDIも、ロボットなどフィジカルAI用途を想定したパウチ型全固体電池のサンプルを初公開した。あわせて、AIデータセンター向け無停電電源装置(UPS)向けのLMO角形電池や、InterBattery Awardsを受賞した700Wh/Lの高エネルギー密度角形電池も展示した。同社は今回、全固体電池「SolidStack」も初披露している。

Samsung SDI戦略マーケティング室のヒョン・ジャンソク常務は、12日に開かれた併催イベント「The Battery Conference」で、「全固体電池はヒューマノイドロボット時代の究極のゲームチェンジャーになる」と強調した。「絶対的な安全性を確保しながら、軽量・高容量化によってロボットの稼働時間を8時間まで延ばせる革新的なソリューションだ」と説明している。

Samsung SDIは、2027年までに全固体電池の量産準備を終え、ロボット市場への先行投入を狙う方針も示した。

SK Onは、構造設計の段階でガスと熱を任意の方向に排出できる「角形オンベントセル」を公開し、今回のアワードを受賞した。SK OnとSK Enmoveが共同開発中の液浸冷却バッテリーパック2種も展示した。さらに、パウチセルをアルミケースに収め、設計の柔軟性と構造面の強みを両立させた「パウチ統合角形パック」を含む4種類のパックソリューションも紹介した。

成長市場として期待が集まるのが、ロボットやUAM向けの電池需要だ。Ecopro BMのチェ・ムノ代表は、「UAMやヒューマノイドのように屋外での稼働が多い用途では、価格よりもエネルギー密度が重要になる場合がある」と述べた。安全性の高い全固体電池は消火設備の簡素化にもつながり、重量や体積の面でもロボット用途に適するという。

Posco Future Mも、出資先のFactorialに正極材を供給し、2年後に欧米OEMのスーパーカーへ採用される計画だと説明した。さらにFactorialとドローン・ヒューマノイド向け電池を共同開発しており、別の顧客企業ともヒューマノイド向け電池の開発を進めているという。商用化の目標時期は2028年としている。

もう一つの柱がLFP正極材への参入だ。オム代表は、「7~8月に既存の三元系ラインの改造を完了し、第3四半期の認証を経て、年末には国内顧客向けに量産品を供給する方向で協議がまとまった」と明らかにした。

制度面では、EU産業加速化法(IAA)の施行により、域内での電池自給率を高める動きが強まっている。これに伴い、欧州で生産基盤の整備を先行させてきた韓国の電池素材企業に競争力回復の余地があるとの見方も出ている。ハンガリー工場も計画通り稼働しているという。

もっとも、最終的な焦点はコスト競争力にある。とりわけ全固体電池では、主要原料である硫化リチウムの価格を量産効果でどこまで引き下げられるかが課題となる。空調設備などのコストも量産段階に入れば低減余地があるが、素材供給のスケール拡大と製造工程の革新が伴わなければ、各社が掲げる戦略は十分に機能しないとの見方が強い。

今回のInterBatteryで韓国勢がどこまで説得力のあるロードマップを示せたかが、2026年後半の受注獲得競争を左右する材料となりそうだ。

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