CATLの全固体電池関連の国際特許出願が公開された。写真=Shutterstock

CATLの全固体EV電池システムに関する国際特許出願の内容が公開された。正極シートやセル構造、製造方法を含むもので、同社はエネルギー密度500Wh/kg級の全固体電池の実用化に向け、開発を前進させている。

世界知的所有権機関(WIPO)の公開文書によると、CATLが出願したのは「正極シート、全固体電池セル、電池装置および製造方法」に関する特許。公開日は3月5日だった。

特許では、全固体電池で安定性と性能を両立させるための材料設計と作動メカニズムを示した。中核となるのは、フッ素含有リチウム塩と硫化物系固体電解質を用いた正極構造だ。

フッ素系リチウム塩は高温環境でも安定した特性を維持しやすい。硫化物系固体電解質は分解過程でフッ化リチウム(LiF)を生じ、固体電解質層を形成する。この層は電池内部で保護膜として機能し、界面の安定化を通じて寿命延長や充電性能の改善に寄与するとしている。

CATLは、エネルギー密度500Wh/kg級の全固体電池についてパイロット生産を始めたとされる。これは現在主流の商用リチウムイオン電池を大きく上回る水準で、EVの航続距離拡大と安全性向上の両面で重要な技術とみられている。

同社は全固体電池の商用化を段階的に進める方針だ。CATLのシニアサイエンティスト、ウー・カイ氏は、自動車向け60Ahセルのスケールアップ技術を中心に開発を進めていると説明している。

計画では、2027年に小規模生産を開始し、2030年前後に量産へ移行する見通しだ。

中国政府も全固体電池の商用化に向けた制度整備を進めている。中国は今年7月、全固体電池の国家標準を公表する予定で、液系電池、半固体電池、全固体電池を体系的に区分する基準になる見込みだ。

全固体電池を巡る開発競争は、世界の自動車業界全体に広がっている。トヨタ、Volkswagen、BYDなどの主要企業も、ほぼ同様の時間軸で開発を進めている。

各社は今後1~2年以内の試験生産開始を見込み、2030年ごろの量産を目標に据える。実車テストも始まっており、Mercedes-Benzは全固体電池を搭載したMercedes-Benz EQSの試験車両で、1回の充電で約1205kmの走行に成功した。

Mercedes-Benzの技術責任者、マルクス・シェーファー氏は、こうした電池技術がEV産業のゲームチェンジャーになり得るとの見方を示している。

一方で、全固体電池がEV用電池の唯一の解ではないとの指摘もある。ナトリウムイオン電池やLFP(リン酸鉄リチウム)電池など、ほかの電池化学系もコスト効率と安定性を軸に進化を続けるとみられている。

専門家の間では、全固体電池はまず高級EVモデルに採用され、その後、技術の成熟と生産コストの低下を経て、普及価格帯へ広がる可能性が高いとみられている。

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