Coupangで発生した大規模な個人情報流出の影響が、2025年10〜12月期(第4四半期)の業績指標に表れた。営業利益は前年同期比97%減の115億ウォンに落ち込み、WOW会員数とアクティブ顧客数も減少した。一方で、通期では売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。
Coupangが27日(韓国時間)に公表した2025年通期業績と、米証券取引委員会(SEC)に提出したCoupang Incの第4四半期・通期の連結決算報告書によると、第4四半期の営業利益は115億ウォンと、前年同期の4353億ウォンから97%減少した。純損益は377億ウォンの赤字に転落し、営業利益率は0.09%にとどまった。
第4四半期の売上高は12兆8103億ウォンで、前年同期比11%増だった。ただ、主要指標には個人情報流出の影響が及んだ。会社側は、売上高成長率やアクティブ顧客数、WOW会員数に複数の影響が出たと説明した。
アクティブ顧客数は2460万人で、前四半期の2470万人から10万人減少した。アクティブ顧客数は、対象期間中に1回以上購入した顧客を指す。
グラブ・アナンド最高財務責任者(CFO)は決算説明会で、「第4四半期にはWOW会員数が前年同期比で小幅に減少したことを確認した」と述べた。2025年12月には解約率が上昇しており、個人情報流出との関連を認めた形だ。
アナンドCFOによると、プロダクトコマース部門の成長率は、事故前の約16%から足元では4%台まで鈍化した。同部門には韓国のロケット配送やロケットフレッシュなどが含まれており、主力の韓国事業で成長が大きく減速したことになる。
もっとも、Coupangは第4四半期の落ち込みを一時的なものとみている。個人情報流出の影響は徐々に落ち着きつつあり、足元では改善の兆しも見え始めたという。アナンドCFOは、2026年第1四半期の売上高について、固定為替レートベースで5〜10%の成長を見込むと説明した。
通期売上高と利益は過去最高
第4四半期は大きく落ち込んだものの、通期業績は過去最高となった。2025年通期の営業利益は6790億ウォンで前年比8%増、純利益は3030億ウォンで、前年の940億ウォンから3倍超に拡大した。一方、営業利益率は1.38%と、前年の1.46%を下回った。
通期売上高は49兆1197億ウォンで、前年の41兆2901億ウォンから14%増加した。ただ、50兆ウォンには届かなかった。
アナンドCFOは、個人情報流出を巡る回復のペースが見通せる段階で、通期の成長ガイダンスを示す考えも明らかにした。そのうえで、「プロダクトコマース売上高の変動性、顧客支援に向けた過渡期の投資、個人情報流出に伴う潜在コストを踏まえると、連結ベースのEBITDAの拡大基調は今年いったん途切れる見通しだ」と述べた。
事業別にみると、韓国の主力であるロケット配送よりも、台湾やCoupang Eatsなど成長事業の伸びが目立った。
台湾、Coupang Eats、Farfetch、Coupang Playを含む成長事業の売上高は7兆326億ウォンで、前年比38%増だった。これに対し、プロダクトコマースの売上高は42兆869億ウォンで、伸び率は11%にとどまった。プロダクトコマースには、ロケット配送、ロケットフレッシュ、ロケットグロス、マーケットプレイスが含まれる。
台湾市場は、キム・ボムソクCoupang Inc会長が2025年の重点成長領域として挙げていた市場でもある。韓国で実績を積んだ既存事業を基盤に、台湾など新市場・新領域へ成長を広げる戦略を示していた。
キム会長は2025年2月の2024年通期決算説明会で、「2025年の始まりにあたり、台湾では非常に注目すべき展開を控えている」と述べ、グローバル事業拡大への強い意欲を示していた。Coupangは2025年初めに台湾でWOWメンバーシップを導入し、韓国のCoupang Eats、日本のRocket Nowなど配送サービス分野の拡大にも注力してきた。
キム会長が初めて直接謝罪
今回の決算説明会では、キム会長が個人情報流出について初めて自らの言葉で謝罪した。
キム会長は「第4四半期の業績について詳しく説明する前に、昨年末に告知したデータセキュリティ事故により、ご心配とご不便をおかけしたことについて、改めておわび申し上げる」と述べた。
さらに、「顧客はCoupangが存在する唯一の理由だ」としたうえで、「顧客の信頼を得るために、毎日最善を尽くしている」と強調した。
キム会長は2025年12月28日に謝罪文を公表していたが、公の場で直接言及したのは事故後初めてとなる。
個人情報流出を受けた信頼回復がどこまで進むのかが、今後の焦点となる。会社側は消費者指標の改善を見込んでいるが、その回復が実際の業績にどう表れるかが注目される。