LayerZeroは2月11日、独自ブロックチェーンプラットフォーム「zero」を発表した。ゼロ知識証明と分散処理を組み合わせた新アーキテクチャを採用し、従来のブロックチェーンを大きく上回る処理性能を実現することで、デジタル資産取引にとどまらず、デリバティブやトークン化証券など金融分野での活用拡大を狙う。
同社は、zeroについてニューヨーク証券取引所並みの取引処理能力と安定性を目指すとしている。LayerZeroによれば、既存のブロックチェーンは、すべてのバリデーターが取引を直接計算し、データを保存する構造が一般的で、取引量の増加に伴って処理速度が低下し、コストも膨らみやすかった。
こうした構造上の制約から、グローバル金融市場が求める大規模な取引処理には限界があるとみられてきたという。
zeroはこの課題に対応するため、構造そのものを再設計した。ゼロ知識証明に基づく検証方式に加え、取引特性に応じて処理を分散するアーキテクチャを採用。ネットワーク全体の負荷を抑えながら、取引の一貫性と安定性を維持できるようにした。
同社によると、zeroは計算処理、ストレージ、ネットワーク、ゼロ知識証明の4領域の技術を基盤とし、従来比で100倍超の性能向上を達成した。将来的には秒間数百万件規模の処理能力を目指す。
具体的には、100万TPSを実現する計算スケジューリング技術「FAFO」、秒間300万件の状態更新を処理する高速検証型データベース「OMDB」、秒間10GB規模で検証可能なデータ転送を支援するネットワーク技術「SVID」、GPUベースの超高速ゼロ知識証明システムなどを組み合わせる。
LayerZeroは、zeroの適用先をデジタル資産取引に限定しない方針だ。デリバティブ市場やトークン化された株式・債券、実物資産を裏付けとする決済など、金融分野へ段階的に展開する計画としている。
zeroの展開を後押しするため、同社は新たな諮問委員会も設置した。メンバーには、米資産運用会社Ark Investの創業者兼CEOであるキャシー・ウッド氏のほか、ニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchange(ICE)で戦略イニシアチブ担当バイスプレジデントを務めるマイケル・ブラウグルンド氏らが加わる。
パートナー企業には、ICE、米証券決済機関DTCC、ヘッジファンドのCitadel、Google Cloudが名を連ねる。ゲーム企業Nexonのブロックチェーン子会社NEXPACEも、LayerZeroおよびzeroを巡る協業の具体化に向けて業務提携を結んだ。
LayerZeroのアジア統括であるイム・ジョンギュ氏は、「zeroは、既存ブロックチェーンの限界を超え、グローバル金融市場が求める処理水準と安定性をブロックチェーン上で実現するためのアーキテクチャだ」とコメント。「今後は金融インフラ全般へ活用範囲を広げていく」と説明した。