再生可能エネルギーやEVを巡る偽情報が、米国のエネルギー転換を妨げているとの指摘が出ている。写真=Shutterstock

米国で、EVや再生可能エネルギーを巡る偽情報の拡散が、クリーンエネルギーへの移行を妨げているとの指摘が出ている。EV火災や風力発電の健康影響、海上風力とクジラの死を巡る言説について、検証済みのデータに基づいて判断すべきだという。

9月30日付のCleantechnicaへの寄稿記事で、作家・研究者のキャロリン・フォーチュナ氏は、気候科学やEV、風力発電に関する歪曲情報が繰り返し広がり、化石燃料とクリーン技術を巡る人々のリスク認識をゆがめていると指摘した。

同氏はその一例として、米政府内での動きを挙げた。2025年には、米エネルギー省のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)の職員に対し、「気候変動」「脱炭素化」「持続可能性」、「税額控除」といった表現の使用を避けるよう求める内部メールが送られていたことが判明したという。

これに対し米エネルギー省は、こうした用語が正式に禁止されたとの見方は否定した。

EV火災を巡る議論も代表例の1つだ。EVがガソリン車などより頻繁に火災を起こすと断定できるだけの根拠は乏しいとされる。スウェーデン当局の統計でも、電気自動車やハイブリッド車の火災は、保有台数に対する発生件数でみると相対的に少ないと報告されている。

その一方で、リチウムイオン電池の火災には、熱暴走や再発火といった固有の対応課題がある。このため、単純にEVの方が安全だと一括りにすることにも注意が必要だとしている。

海上風力発電と相次ぐクジラの死の関連についても、科学的な裏付けは確認されていない。米海洋大気局(NOAA)は現時点で、風力発電に伴う調査や建設活動が大型クジラの大量死を引き起こしている証拠はないと公表している。解剖では、船舶との衝突や漁具への絡まりが一部の死因として確認された。

また、風力タービンの低周波騒音が頭痛などの直接的な健康被害をもたらすとの根拠も十分ではないという。ただし研究では、一部住民に騒音による不快感や睡眠妨害が生じる可能性が示されており、立地選定や騒音管理の重要性が指摘されている。

フォーチュナ氏は、クリーンエネルギーを巡る議論では、誇張された恐怖だけでなく過度な楽観も避けるべきだと指摘する。技術ごとのリスクとコストを、検証済みの資料に基づいて見極める必要があるとしている。

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