ビットコイン(写真=Shutterstock)

ビットコインは米国の8月個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想を下回ったことを受け、一時8万5000ドル台まで上昇した。ただ、その後は伸び悩み、上値の重さを改めて印象づけた。米長期金利の高止まりに加え、ETF経由の資金流入も勢いを欠いており、市場の関心は終値で8万5599ドルを明確に上回れるかに移っている。

9月30日(現地時間)、Decryptによると、ビットコインは同日中に8万5598.94ドルまで上昇した後、8万3600ドル近辺まで押し戻された。

相場を動かしたのは、PCEの下振れだった。8月のPCEは前月比0.3%上昇、前年同月比では3.4%上昇となり、市場予想の0.4%、3.7%を下回った。食品とエネルギーを除くコアPCEも前月比0.2%、前年同月比3.0%で、予想の0.3%、3.3%を下回った。

これを受けて米金融政策を巡る見方にも変化が生じた。CME FedWatchでは、Fedが10月会合で政策金利を据え置く確率は62%、0.25ポイント引き上げる確率は37%と織り込まれた。追加利上げ観測の後退は本来リスク資産の支援材料だが、今回は上昇基調を強めるには至らなかった。

もっとも、インフレ懸念が後退したとは言い切れない。コアPCEの上昇率はなおFedの目標である2%を上回る。実際、米10年国債利回りは9月29日に約5.25%まで上昇し、2002年以降の高水準を付けた。

この日の主要市場では、ビットコインは株式に比べて相対的に底堅く推移した。S&P500は0.2%安、ダウ工業株30種平均は0.3%安、ナスダック総合指数は0.1%安だった。ブレント原油は、米国とイランの対立を背景にホルムズ海峡の物流混乱懸念が意識され、一時1バレル=100ドルを上回った後、96.16ドルまで下落した。消費者信頼感指数は12年ぶりの低水準となり、8月の求人件数も市場予想を下回る708万件にとどまった。

暗号資産市場全体の時価総額は3兆ドルを下回る水準ながら、前日比0.6%上昇した。ただ、ビットコインの上昇余地は限られた。9月の急騰後に形成したレンジ圏を抜け切れず、週ベースでもおおむね8万2600〜8万5600ドルの範囲で推移している。

資金フローにも勢いの鈍化がみられる。ビットコインは9月21日、現物ETFへの大規模流入とショートポジションの清算を背景に8万7354ドルまで急伸したが、その後はETF資金流入のペースが鈍った。週次で24億ドル(約3600億円)が流入していた局面に比べると、足元では買いの勢いが弱まっている。市場に追加上昇を見込む慎重姿勢が広がっている格好だ。

予測市場Myriadでも、強気一辺倒とは言い難い。ビットコインが2027年以前に過去最高値の12万6199.63ドルを上回るとの見方は7%にとどまった。一方、短期では8万4000ドル超を維持する可能性が49%、来週初めまでに8万6000ドルを突破する可能性は21%と集計された。市場は最高値更新よりも、まず足元のレンジ維持を重視している。

テクニカル指標は中期的な基調の強さを示す一方、短期の上放れにはなお確認が必要との見方を示している。平均方向性指数(ADX)は41.9と強いトレンドを示した。50日指数移動平均は7万7809.88ドル、200日指数移動平均は7万4423.93ドルで、短期線が長期線を上回った。相対力指数(RSI)は63.4と過熱圏には入っていないが、買い優勢の状態が続いている。

当面の焦点は上値抵抗線の突破だ。ビットコインはPCE発表直後に反発したものの、8万5599ドル近辺で再び上値を抑えられた。この水準は、過去1週間にわたって相場の上限として意識されてきた価格帯と重なる。

次の注目点は、終値ベースで8万5599ドルを明確に上抜けられるかどうかだ。これを超えれば、次の確認水準として9月21日に付けた8万7354ドルが意識される。今回の値動きは、物価指標の鈍化だけでは上昇トレンドの再加速に不十分であり、債券利回りの落ち着きと資金流入の回復が伴わなければ強い上昇は続きにくいことを改めて示した。

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