米ペンシルベニア州ヘイゼル・タウンシップで計画されている大規模AIデータセンター開発を巡り、住民の反発が強まっている。開発側は各世帯に1万ドルを支給する案を含む総額1億6500万ドルの地域支援策を打ち出したが、騒音や環境負荷、資産価値への影響を懸念する声は収まっていない。
TechRadarが9月30日に報じたところによると、NorthPoint Developmentは同タウンシップで約1300エーカー(約526万平方メートル)に及ぶデータセンター群「Project Hazelnut」を計画している。計画では、15棟のデータセンター棟に加え、変電所などの関連設備を整備する。
同社は地域の理解を得るため、約4500世帯に1世帯当たり1万ドルを支給する総額4500万ドルの支援策を提示した。最初のデータセンター棟が稼働承認を受けた段階で支給し、使途は問わないとしている。NorthPointの最高マーケティング責任者(CMO)、ブレント・マイルズ氏は、これは「住民にどのようなメリットがあるのか」という問いに対する直接的な答えだと説明した。
ただ、住民の間ではこの提案を事実上の賄賂と受け止める声も出ており、反発は広がっている。データセンターに近い住民ほど影響が大きいにもかかわらず、全世帯に一律で同額を支給すれば地域内の対立を深めかねないとの指摘もある。住民は騒音に加え、用水の使用量増加や電力料金の上昇、環境への影響、住宅価値の下落などを懸念している。
NorthPointはこのほか、1500万ドル規模の地域基金の創設も提案した。さらに、今後15年間にわたり毎年700万ドルを拠出し、タウンシップ向け支援の累計を1億500万ドルとする案も示している。世帯向け支援を含めた地域支援パッケージの総額は1億6500万ドルに上るという。
一方、計画は許認可手続きの段階でも難航している。ヘイゼル・タウンシップは昨年11月に開発計画を退け、今年6月にはデータセンター関連条例の整備を目的として、180日間の一時停止措置を導入した。開発会社と自治体の間では、法的・行政的な手続きが引き続き進められている。
米連邦政府は大規模データセンターの許認可迅速化を進めているが、地域レベルでは騒音、電力、用水、環境負荷を巡る対立が続いている。Project Hazelnutは、多額の経済支援だけでは住民の懸念を解消できない現実を浮き彫りにした事例といえそうだ。