画像=科学技術情報通信部提供

韓国政府は、小型モジュール炉(SMR)や核融合、再生可能エネルギー、量子、宇宙航空、先端バイオ、先端サプライチェーンの7大成長分野に対し、2027年に約4兆ウォン(約4400億円)を重点投資する。あわせて、国家研究開発(R&D)には2026~2030年の5年間で200兆ウォン(約22兆円)超を投じ、AIで科学技術上の難題解決を目指す「K-ムーンショット」も本格的に進める。

科学技術情報通信部は9月30日、ペ・ギョンフン副首相兼同部長官がソウルの政府庁舎で第13回科学技術関係閣僚会議を開き、「未来成長動力7大SEEDプロジェクト推進計画」など5件の議題を扱ったと発表した。

会議では、7大SEEDプロジェクト推進計画のほか、知的財産(IP)を軸とするR&D・事業化支援策、代替困難なR&D推進に向けた基盤強化策、K-ムーンショット戦略ロードマップなどを議論した。

◆7大SEEDに2027年4兆ウォン、官民一体の推進体制を整備

政府は8月、SMR、核融合、再生可能エネルギー、量子、宇宙航空、先端バイオ、先端サプライチェーンを未来成長動力となる「7大SEED」に選定した。今回は15の省庁・機関・委員会が参加し、推進体制や財政投資、創業・事業化支援策を具体化した。

7大SEEDには2027年に約4兆ウォンを投じる。政府と企業が共同で資金を出し合い、リスクを分担する投資型R&Dを拡大するほか、未来対応基金の成長動力勘定も活用する。既存のR&D事業についても、SEEDプロジェクトの目標に沿って再編する。

推進体制は、科学技術関係閣僚会議を軸に省庁横断・官民合同で整える。分野別の主管省庁は、政府、研究機関、産業界が参加する協議体を設け、年内に具体的な目標と実行戦略をまとめる方針だ。

事業化・創業支援も強化する。SEEDごとの特性に応じたディープテック創業戦略を進め、国民成長ファンドや科学技術革新ファンド、母胎ファンドを通じて企業の成長を後押しする。先端研究装備の国産化や規制の合理化も並行して進める。

量子や宇宙航空など、規制や標準が十分整っていない分野では国際標準の先取りを目指す。SMRや核融合、再生可能エネルギーについては、技術特性を踏まえた規制体系を整備する。

◆国家R&Dに5年で200兆ウォン超、評価・大学支援・事業化制度を再編

国家R&Dの投資・評価制度も見直す。政府は「国家R&D中長期投資戦略」に基づき、2026~2030年の5年間で200兆ウォン超を投じる。7大SEEDなど中核分野では、投資初期の段階から実証と事業化を連動させ、事業企画や予算配分、推進の各過程で省庁間の連携を広げる。

1000億ウォン(約110億円)以上の大型R&D事業については、事前の企画審査を強化する。事業評価は、省庁による自己評価と科学技術革新本部による上位評価に分かれていた仕組みを改め、統合評価に移行する。

評価指標は、主要成果を重視する定性・絶対評価に改める。評価結果は5段階で示し、予算配分や事業改善、後続の履行点検に活用する。

大学が組織として研究力を蓄積できるよう、研究中心大学を対象に、機関支援型の「ブロックファンディング」新規事業を導入する。専任研究員や装備支援人材など研究支援人材も拡充し、大学研究設備の共同利用・開放も広げる。

研究成果の民間展開に向けた事業化体制も強化する。技術事業化に関する省庁横断の協議体を設け、研究成果の移転や追跡管理、販路確保、保証・ファンド支援を連携させる。事業化の可能性を踏まえた競争型の段階評価R&Dや、実証・認証のパッケージ支援も拡大する。

国家R&Dの全過程にはIP戦略を組み込む。国家戦略技術のグローバルな特許動向や有望技術を分析し、R&Dロードマップに反映するほか、フィジカルAIなどを対象に国家特許戦略マップを整備する。特許情報はAI学習データとして活用し、R&Dにつなげる。

有望な公共技術については、海外でのコア特許取得を支援する。AIやロボットなど未来産業分野での標準必須特許の確保も進める。大学や公的研究機関の技術移転組織(TLO)では管理基準を標準化し、IP専任人材の育成も支援する。

◆AIで科学技術の難題解決へ、「K-ムーンショット」を本格化

政府は、AIと科学技術を組み合わせて難題解決のスピードを高める「K-ムーンショット」戦略ロードマップも具体化した。7大SEEDと3大メガプロジェクトで解決すべき技術課題を定め、今後10年間のR&D・実証計画と段階別目標を示した。

基盤整備では、GPU約8000基規模のスーパーコンピューター6号機を中核に、機関間のGPUネットワークを構築する。K-ムーンショットの各ミッションに必要な専用計算資源を確保するとともに、政府系研究機関の実験データをAIが活用しやすい形に自動変換し、ミッション別に特化したAIエージェントの開発も支援する。

分野別の目標も示した。核融合では、2029年にAI仮想核融合炉プラットフォームを構築し、2032年までに革新型核融合炉の設計期間を50%短縮する。

SMRでは、2029年にAIベースの汎用仮想原子炉を開発し、2032年までにSMR船舶向けの開発・検証プラットフォームを構築する。フィジカルAIでは、2027年に限定環境・反復作業に適用可能な技術を確保したうえで、2029年に世界最高水準の汎用フィジカルAIの実現を目指す。

創薬分野では、2028年にがん免疫微小環境などを扱うバイオAIモデルを開発し、2029年には新薬開発向けのAI自律実験室の構築を進める。

ペ・ギョンフン副首相は、先端AIのリスク対応を巡る国際協力の議論が活発になっているとしたうえで、「より速く、より安全に進むAI国家をつくることが韓国の進むべき道だ」と述べた。

そのうえで、AIの研究開発と産業・日常生活での活用は一段と積極的に進める一方、AIがもたらし得るリスクに備える安全装置も強化する必要があると強調した。今後も主要課題について省庁間の調整と連携を進め、政策の実行力を高める考えも示した。

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