Bitwiseは9月29日、米国で初めてとなるNEARの現物ETFをNYSE Arcaに上場し、ティッカー「NRR」で取引を開始した。NEARを現物で保有し、その一部をステーキングで運用する商品で、足元の価格上昇に加え、クロスチェーン基盤やAIエージェント分野への期待も投資テーマとして注目を集めている。
Cointelegraphによると、このETFは投資家がトークンを直接購入せずにNEAR価格へのエクスポージャーを得られるよう設計された。運用手数料は0.75%。ファンドはNEARを現物で保有し、Bitwiseは組み入れ資産の相当部分をステーキングに回す方針だという。
Bitwiseは2025年6月に欧州でNEARのETPを投入しており、その後、米国でのETF上場に向けた準備を進めてきた。今回のNRRは、ビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRP、Hyperliquidに続く、同社の米国単一資産型の暗号資産商品に加わる。
今回の上場は、NEARの価格上昇とネットワーク利用の拡大が進む中で実現した。CoinGeckoによれば、NEARは直近1カ月で約167%上昇し、29日時点ではおおむね4.94ドル(約741円)で推移した。過去1年では約81%高となる。
Bitwiseが特に注目しているのが、クロスチェーン取引プロトコル「NEAR Intents」の成長だ。これは複数のブロックチェーンをまたぐ取引を処理する仕組みで、取引規模は1年前の10億ドル未満から、足元で320億ドル超へ拡大したという。ユーザーが望む取引結果を指定し、外部のソルバーが対応するネットワーク全体でその実行を担う方式とされる。
Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガン氏は、NEARの成長を支える中核要因として、クロスチェーン利用の使いやすさを挙げた。インテントの仕組みは、大規模言語モデル(LLM)が持つ目的志向型のアプローチと親和性が高く、ブリッジなどの複雑さをユーザーが意識せずに使えるようにすると説明した。ブリッジやクロスチェーンの抽象化は、暗号資産業界でこの約10年間にわたり課題として残っており、多くのユーザーが時間やコストの負担を強いられてきたとも指摘した。
NEARは分散型アプリケーション向けのレイヤー1ブロックチェーン。2024年以降は戦略の軸足をAIに移し、クロスチェーン基盤と自律型AIエージェント領域に注力している。
ホーガン氏は、AIエージェントがNEARの新たなユースケースになり得るとの見方も示した。すでにエージェントがネットワークを利用している兆候が確認されており、今後は関連する活動が増えていく可能性があるという。一方、現時点ではNEARのネットワーク利用の大半は、なお人間主導だとした。
こうした動きは、主要金融機関が自律型ソフトウェアの普及によって、ブロックチェーンベースの決済基盤への需要が拡大するかを見極めようとしている流れとも重なる。BlackRockは先週公表したリサーチレポートで、機械間取引が増加すれば、ステーブルコインや暗号資産、トークン化資産への需要が強まる可能性があると指摘した。さらに、AIをデジタル資産の採用を後押しする「構造的触媒」と位置付け、プログラム可能な資産は24時間稼働の小口・高頻度取引に適し得るとの見方を示した。
今回のETF上場は、NEARの価格上昇だけでなく、クロスチェーン取引基盤とAIエージェント需要という新たな投資テーマへの関心を改めて映し出した格好だ。今後は、実際のネットワーク利用の拡大がETFへの資金流入につながるかが焦点となる。