Bitcoin 写真=Shutterstock

Bitcoinが12万5000ドル(約1875万円)から6万ドル(約900万円)まで下落した局面でも、主要な機関投資家は売却に動かなかった。Bitwiseが調査した15の機関投資家では売却したところはなく、一部はむしろ買い増していたという。短期売買ではなく、長期の資産配分先としてBitcoinを位置付ける動きが鮮明になっている。

Bitcoin Magazineが29日(現地時間)に報じた。Bitwiseでリサーチ部門を率いるライアン・ラスムセン氏は、同社初の機関投資家向け暗号資産導入レポートを紹介し、年金基金や財団、政府系ファンドなどがBitcoinを金と同様、通貨価値の目減りに備える資産として見ていると説明した。

ラスムセン氏によると、Bitwiseが調査した主要機関15社のうち、価格下落局面でBitcoinを売却したところは1社もなかった。相当数の機関が調整局面で保有を積み増したという。機関投資家の間では、短期的な値動きよりも長期の資産配分の観点でBitcoinを組み入れる姿勢がうかがえる。

機関の実際の組み入れ比率にも言及した。ラスムセン氏は、Wells Fargoがポートフォリオの2〜3%程度をBitcoinに配分している事例を挙げ、その背景には通貨価値の希薄化への備えという考え方があるとした。

FidelityとBlackRockについても、Bitcoinの配分比率が2〜8%に達する事例として紹介した。Bitwiseは、Bitcoinを短期的なリスク資産ではなく、長期の戦略資産として組み入れる流れが広がっているとみている。

今回の下落局面では、Bitcoin現物ETFの存在感も大きかった。ラスムセン氏は、ETFがこれまでよりも下落の勢いを和らげる要因になったと評価した。週次ベースのETF純流入額は約25億ドル(約3750億円)に上り、新規資金が継続的に市場へ流入しているとした。

現物ETFの登場で、機関投資家や伝統的金融の投資家がBitcoinにアクセスしやすくなった点も大きい。価格調整局面でも新規資金が入りやすい市場構造が整いつつあるという。

Bitwiseは今回の調整局面の下値についても見解を示した。ラスムセン氏は、同社として今回の安値をおよそ6万ドル(約900万円)とみていると述べた。

また、同氏はBitcoinが債券、金、株式といった既存資産との相関が低い点も強調した。機関投資家のポートフォリオに組み入れることで、異なる値動きを通じた分散効果が期待できるとしている。

政府系ファンドの動きも、機関需要の拡大余地を示す事例として紹介した。ラスムセン氏は、一部の政府系ファンドが金を売却し、その資金でBitcoinを購入していると明らかにした。

もっとも、すべての機関が金をBitcoinに置き換えているわけではない。Bitwiseによると、多くの機関は金とBitcoinを併有し、通貨価値の下落や資産価値の希薄化に備える形で運用しているという。

今回の事例が示したのは、Bitcoin価格が大幅に下落しても、機関投資家の投資判断が短期的な値動きで大きく揺らがなかったことだ。現物ETFによるアクセス拡大と機関の戦略的な資産配分が重なり、Bitcoin市場の需給構造は過去とは異なる段階に入りつつある。

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