Samsung Electronicsは9月28日、家電サブスクリプション事業を個人向けから法人向けへ拡大し、「B2B Samsung AI Subscription」を開始した。公共機関、宿泊、医療、金融分野を中心に展開し、専用管理サービス「B2Bブルーパス」もあわせて提供する。
同日、ソウルのSamsung Store清潭店で、家電サブスク開始2周年に合わせたメディアデーを開き、法人向け事業の概要を明らかにした。
同社は、飲食店や病院、銀行支店など複数台の家電を導入する事業所では、一括購入ではなくサブスクを活用することで初期投資を抑えやすくなるとみている。
Samsung Electronics韓国総括のイム・ソンテク副社長は、法人がサブスクを求める背景として、開業時の初期コスト負担を挙げた。飲食店や小規模オフィスの新規開業時に家電をまとめて購入すると固定費負担が膨らみ、資金調達面の負担にもつながるという。
イム副社長は「サブスクを活用すれば運営費として処理できる」と述べ、「初期投資を抑えることで、事業成功の可能性を高められる」と説明した。
同社は、複数台の家電を長期間運用する事業所ほどコスト削減効果が大きいとみている。まずは公共賃貸住宅や寄宿舎、宿泊事業者を主な対象とし、現在は医療や金融分野にも対象を広げている。
銀行、官公庁、病院では、浄水器や空気清浄機、エアコンの導入が一般的で、小型冷蔵庫が設置されるケースも多い。宿泊施設やオフィスでは、PC、モニター、プリンターまで設置対象が広がり、従業員向け福利厚生としてエアドレッサーを導入する大企業もあるという。
同社は、こうした製品は耐用年数の管理が必要なうえ導入コストも大きく、サブスクとの相性が高いと判断した。
法人向けには「B2B Samsung AI Subscription」を提供する。あわせて、サブスク事業のブランド名を「AI Subscription Club」から「Samsung AI Subscription」へ変更した。
法人顧客は、大量導入時の初期費用を抑えられるほか、最長6年間の無償アフターサービスを受けられる。
また、法人契約者向けに専用管理サービス「B2Bブルーパス」も提供する。ブルーパスは、同社が2025年9月に個人向けサブスクへ導入した設置・アフターサービスの統合管理サービスだ。
法人向けでは、Samsung Electronics ServiceとSamsung Electronics LogitecのB2B専門エンジニアが、企業ごとの運用環境に合わせて製品管理を担う。
「B2Bブルーパス」は、事業所の営業時間に合わせた対応が特徴だ。全国に支店を持つ銀行であれば、営業終了後の時間帯を指定し、複数支店の製品をまとめて管理してもらえる。
衛生管理が重要な病院向けには、アフターサービス受け付け後、営業日ベースで48時間以内にエンジニアが訪問する対応も用意した。
このほか、事業所ごとに担当エンジニアを割り当てる仕組みや、訪問時にSamsung Electronics製品1種類を追加で無償点検するサービスも盛り込んだ。
客室数の多い宿泊施設では、監視サービス「SmartThings Pro」を通じて、各空間の製品利用状況を把握できる。各サービスは、家電のダウンタイム抑制に重点を置く。
Samsung Electronicsが法人向けサブスクで管理体制を前面に打ち出すのは、事業所では家電の故障が売上機会の損失に直結しかねないためだ。イム副社長は「飲食店で突然エアコンが止まれば営業に支障が出る。製品や性能の問題は売上に直結し得る」と述べた。
そのうえで「始まったばかりでまだ完璧ではないかもしれないが、急速に発展していく」と語った。
一方で、投資を伴う管理体制を値引き施策とあわせて維持することは、同社にとっても容易ではないと認めた。前払い割引など複数の割引が重なるサブスク事業の収益性確保について、イム副社長は「非常に厳しい」と話した。
同社は、提携企業と連携しながら、顧客向けメリットを共同で提供する形で対応しているという。
それでもサブスク事業に注力する理由について、イム副社長は「家電市場が変わるべき方向性の中にある」とし、「収益性改善や売上拡大が第一の目的ではない」と説明した。
なお、Samsung Electronicsはこの日、サブスク売上比率や法人向け事業の目標比率については公表しなかった。