BitwiseのNEAR現物ETFが、米国で初めて、上場承認を得た。NYSE Arcaによる承認に加え、米証券取引委員会(SEC)への登録届出書も発効しており、上場に必要な主要手続きを終えた。ティッカーは「NRR」で、29日にも売買を開始する見通しだ。
28日付のブロックチェーンメディアCoinPostによると、米市場でNEARの現物ETFが上場するのは今回が初めてとなる。
同ETFの特徴は、NEARを現物で保有するだけでなく、保有するNEARをすべてステーキングに回す仕組みにある。値上がり益に加え、ステーキングによる追加収益の獲得も狙う設計だ。年間運用報酬は0.75%。ステーキング収益の約33%は関連費用として差し引かれ、残る約67%が信託資産に組み入れられる。
カストディー体制も機関投資家を意識した構成とした。NEARトークンの保管はCoinbase Custody、現金管理と事務はBNY Mellonが担う。Bitwiseは大手カストディアンを組み合わせ、信頼性を重視した布陣を敷いた。
一方、立ち上がり時点の資金規模は小さい。開示資料によると、2026年7月28日時点で信託が発行した株式は1株25ドルで8株のみで、純資産総額は200ドルだった。上場前には約2万株、約50万ドル規模のシード・バスケットを用意する計画という。
市場の関心はETFの構造だけでなく、NEARの中長期的な成長シナリオにも向かっている。NEAR Protocolは分散型アプリケーション(dApp)向けプラットフォームで、高速処理、低コスト、ユーザーフレンドリーな設計を特徴とする。
Bitwiseの欧州法人は2025年4〜6月期のNEAR投資レポートで、2030年末時点の価格シナリオを示した。ベースシナリオではNEARが約156ドルに達する可能性があるとした一方、弱気シナリオは1.63ドル、強気シナリオは562ドルとし、見通しには大きな幅を持たせた。
ベースシナリオでは、商用レベルでのAIエージェント導入拡大を前提に置く。2030年までに世界のAIエージェント数が164億に達し、そのうち2%がNEARを利用する可能性があるとの見方だ。より強気のシナリオでは、NEARがAI関連活動の主要な決済レイヤーとなり、金融の自動化やB2B業務の実行まで担う展開を想定した。
これに対し、弱気シナリオでは中央集権型AIプラットフォームの影響力拡大をリスク要因に挙げた。OpenAI、Anthropic、Metaなどが独自インターフェースを通じてエージェント間の調整機能を握れば、NEARのようなプラットフォームに対する需要が縮小する可能性があるという。
今回のETF上場は、単なる新商品の投入にとどまらない。米市場でNEARが機関投資家向け資産として受け入れられるかを占う試金石となりそうだ。当面は、実際の資金流入の規模と、ステーキング収益を組み込んだ商品設計に投資家がどう反応するかが焦点となる。