NCSoftは、MMORPG「Aion2」のグローバル版を9月30日にアーリーアクセス、10月5日に正式サービスへ移行する。Steamと自社プラットフォーム「PURPLE」を通じたPC専用展開で、北米・南米・欧州・アジアに同時配信する。今回のグローバル展開は、同社が「Lineage」以外のIPで海外MMORPG市場に定着できるかを占う試金石となりそうだ。
アーリーアクセスの対象は、参加権を含むファウンダーズパックの購入者。
Aion2は、2008年発売のMMORPG「Aion」を継承する続編。2025年11月19日に韓国と台湾で先行配信した後、NCSoftの主力タイトルの1つとして定着した。
配信開始から46日後の2026年1月3日には累計売上1000億ウォンを突破。メンバーシップ購入に伴う累計キャラクター数も100万を超えた。2026年1~3月期の売上は1368億ウォンだった。
Aion2とLineage Classicの寄与により、同時期のNCSoftのPCゲーム売上は3184億ウォンと四半期ベースで過去最高を記録した。
一方、2026年4~6月期のAion2売上は719億ウォンで、前期比47%減となった。NCSoftは、配信初期の反動が一巡し、売上が安定化する局面に入ったと説明している。
同社によると、7月の大型アップデート後は同時接続者数や月間アクティブユーザー数(MAU)、売上などの主要指標が改善したという。
韓国と台湾で一定の興行規模を確認しただけに、次の焦点は北米や欧州でユーザー基盤と収益基盤を広げられるかどうかに移る。
◆PC専用・Steam展開で海外市場を開拓
グローバル版はPC専用で提供し、SteamとPURPLEから利用できる。対応言語は英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語、ロシア語、中国語(簡体字・繁体字)の10言語。
韓国・台湾ではPCとモバイルの両対応だったが、グローバル版はPCに絞った。自社プラットフォームに加えてSteamでも展開することで、海外ユーザーのアクセス性を高める狙いがある。
サービス開始に先立ち、サーバーとインフラの検証も進めた。NCSoftは9月17~18日、実サービスと同一環境で「ローンチスケールテスト」を実施し、サーバーとインフラの安定性を確認したとしている。
Microsoftとも協業する。両社はMicrosoft Azureのグローバルインフラを活用し、大規模同時接続や地域ごとのトラフィック変動に対応する方針だ。
配信前の性能検証からサービス開始後の障害対応まで連携する計画という。
グローバル向けの運用環境を整えたことで、今後の焦点は実際の市場反応に移る。Steamでは、同時接続者数やユーザー評価といった初期指標を比較的直接的に確認できるためだ。
◆非Lineage IPとして海外で通用するか
Aion2のグローバル展開が注目される背景には、NCSoftが進める事業構造の転換がある。
同社は長年、Lineage IPを軸に成長してきた。2026年4~6月期もその影響力は大きく、Lineage Classicの売上は1855億ウォンを計上。配信開始から140日時点の累計売上は2691億ウォンに達した。Lineage RemasteredとLineage Mも前期比で増収だった。
これに対しAion2は、Lineage以外のMMORPGでも大型売上を生み出せる可能性を示した。2026年1~3月期に1368億ウォン、4~6月期にも719億ウォンを売り上げた。
もっとも、韓国と台湾での成果だけでNCSoftのIP構造が変わったと判断するのは早計だ。2026年4~6月期もPCゲーム売上の成長を牽引したのはLineage Classicで、既存のLineageシリーズが引き続き業績の中核を担っている。
Aion2が中長期の成長ドライバーになるには、グローバル市場でも継続的に成果を上げる必要がある。
NCSoftの海外売上比率は2026年4~6月期に52%となり、国内比率を上回った。地域別では韓国が48%、アジアが25%、北米・欧州などが27%。海外売上比率は4四半期連続で上昇している。
証券業界でも、Aion2のグローバル展開をNCSoftの海外事業の方向性を見極める転換点とみる向きがある。
韓国投資証券のチョン・ホユン研究員は最近のリポートで、韓国とアジアを除くグローバル市場でこれまで目立った成果がなかった点を踏まえ、「成功すれば業績寄与に加え、バリュエーションを押し上げるイベントになり得る」と評価した。
同研究員は、NCSoftが今後「Horizon Steel Frontiers」「Guild Wars 3」などグローバルMMORPGの投入を準備していることから、Aion2が市場に定着すれば後続作への期待感も高まる可能性があると分析した。
今回のグローバル展開は、Aion2の配信地域と売上を広げるだけにとどまらない。韓国と台湾で検証した非Lineage IPが北米・欧州でもユーザー基盤を築けるか、さらにNCSoftがLineage依存の事業構造を自社IPのグローバル展開へと広げられるかを見極める場になる。
業界関係者は「Aion2はすでに国内で成果を示しており、グローバルでは初動の流入よりも、北米・欧州でユーザー基盤をどこまで維持できるかが重要になる」とした上で、「Aion2の成否は、NCSoftの今後のグローバルMMORPG戦略を測る基準点になり得る」と述べた。