米上院でデジタル資産市場構造法案「Clarity法」が否決され、暗号資産業界が2026年の米中間選挙を見据えた政治資金の投入を強める可能性が高まっている。業界系の政治活動委員会(PAC)は、法案成立が遠のいたことで、議会対策よりも選挙戦への対応に軸足を移しつつある。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、上院は15日、Clarity法を採決し、賛成49、反対50で否決した。
この結果、今会期中に同法案の審議が前進する可能性は大きく後退した。一部の業界擁護派は次会期前の再採決の可能性をなお残しているものの、業界側では選挙を通じて立法環境を変える動きが強まっている。
CoinbaseとRipple Labsが支援するPAC「Fairshake」は、特定候補を対象に3000万ドルを投じる計画だ。対象候補の1人とされるシェロッド・ブラウンは、民主党が多数党だった時期に上院銀行委員長を務め、暗号資産に批判的な立場を示してきた。業界では、ブラウンが復帰した場合、Clarity法の再推進に向けたプロセスで障害になり得るとみている。
政界と市場では、今回の採決を2027年の立法環境を左右する分岐点と受け止める見方が出ている。経済学者のポール・クルーグマンは、ブラウンが当選した場合、民主党が上院多数党となれば決定的な1票を握る可能性があると指摘した。
実際、暗号資産業界は選挙資金を通じて影響力を強めてきた。Fairshakeは2024年選挙で民主党候補の阻止に4100万ドルを投じ、同じ選挙サイクルでの広告支出総額は1億3000万ドルを超えた。今回のClarity法否決は、同様の資金攻勢が再び拡大する可能性を示すシグナルと受け止められている。
Coinbaseが2023年に立ち上げた政治組織「Stand With Crypto」も、圧力を強めている。同組織は、Clarity法の前進を阻んだ議員は2026年中間選挙で代償を払う可能性があると警告した。
もっとも、採決直後の時点で具体的な支出内容が直ちに確認されたわけではない。21日時点で、Fairshakeと関係するPAC「Defend American Jobs」「Protect Progress」は、連邦選挙委員会(FEC)に支出内訳を開示していない。Cantor FitzgeraldとAnchorage Digitalが資金を拠出した「Fellowship」、Gemini共同創業者のタイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボスが支援する「Digital Freedom Fund」についても、同時点での追加支出開示は確認されていない。
2026年の米中間選挙は、単なる議席争いにとどまらず、暗号資産立法の行方を左右する焦点となっている。上下院の多数派構図が変われば、同法案が再び前進する余地も出てくる。業界が残る期間に政治資金をどこへ集中させるかによって、主要激戦区の選挙戦にも影響が及ぶ見通しだ。