Hyundai Motorのホセ・ムニョス最高経営責任者(CEO)は、中国自動車メーカーの米国市場参入を抑えるには、高関税と参入障壁の維持が必要だとの考えを示した。欧州で中国勢が急速にシェアを広げている現状を踏まえ、米国が障壁を緩めれば同様の展開になりかねないと警告した。
米EVメディアのCleanTechnicaが21日(現地時間)に報じたところによると、ムニョスCEOは先週、米カリフォルニア州サンノゼで、中国メーカーに対する米国の関税や参入障壁を維持すべきだと述べた。こうした保護措置を緩めれば、中国勢は欧州と同じ構図で米市場に流入する可能性があると指摘した。
同氏によると、中国メーカーは欧州で既存の自動車メーカーのシェアと収益性を圧迫している。イタリア、スペイン、フランスなど一部市場では、中国製車両が競合車種に比べて30〜40%安いという。欧州連合(EU)が中国製EVに関税や最低価格に関する取り決めなどの貿易障壁を導入しても、なお価格優位を保っていると説明した。
ムニョスCEOは、その象徴的な事例として英国市場を挙げた。英国は2020年のEU離脱後、中国製EVにEUと同様の追加関税を課していない。同氏は、かつて高い収益性を誇った英国の自動車市場が事実上「中国のように変わった」とした上で、「売れ筋上位の車種がすべて中国メーカーなのは、障壁がないためだ」と語った。
中国ブランド車の販売比率は英国でより高い水準にある。欧州自動車工業会(ACEA)によると、2026年上期の中国ブランド車の販売比率はEU全体で9%を超えた。英国では、英国自動車工業会(SMMT)のデータで新車登録の15%を中国ブランド車が占めた。
一方でムニョスCEOは、中国メーカーの強みとして価格だけでなく技術力も評価した。中国のEVについて、技術革新の水準や改善スピードは「信じがたいほど」だと述べ、価格競争力に加えて技術面でも優位性を備えているとの見方を示した。
こうした認識を踏まえ、同氏は米国でも現行の貿易障壁を維持すべきだと主張した。EUが導入している関税や参入条件などの措置を米国でも整え、中国メーカーの影響を最小限に抑える必要があるとした。米国は現在、中国製EVに約100%の関税を課しており、事実上、輸入を抑制している。
中国メーカーの米国市場参入を巡っては、米国の一部自動車メーカーや政界関係者も警戒感を示してきた。ムニョスCEOは欧州と英国の事例を根拠に、参入障壁の維持を改めて訴えた形だ。