XRP Ledger(XRPL)の主要アップグレード「Batch V1.1」が、メインネットでの有効化に近づいている。複数アカウントにまたがる取引を一括で処理できる機能で、機関投資家向け決済や複数当事者間の清算などへの活用が期待されている。
9月20日、ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、今回の改定案は有効化に必要な2週間の支持率維持期間に入った。この期間中に支持率80%以上を維持できれば、9月29日にメインネットへ適用される見通しだ。
Batch V1.1は、xrpld v3.3.0に含まれる修正版のバッチ実装を反映した代替提案とされる。9月15日に有効化の基準となる支持率80%を超え、足元の支持率は85.71%となっている。XRPLでは、改定案が2週間連続で基準を満たした場合、有効化され、変更内容が台帳の取引処理ルールに恒久的に組み込まれる。
改定案の中核は、複数アカウントで発生する複数の取引を1つのバッチにまとめ、同一レジャー内で処理する仕組みにある。Batch(XLS-56)では原子的処理を採用し、バッチ内の取引はすべて実行されるか、すべて取り消されるかの「オール・オア・ナッシング」方式となる。
このため、バッチ内の個別取引が1件でも失敗した場合は、全体がロールバックされる。一部の取引だけが実行される状態を防げるのが特徴だ。
想定される用途は、2者以上の参加者が相互の信用に頼らず、同時に取引を完了させる必要がある場面だ。代表例としては、原子的スワップ、協調型決済、原子的な多者間決済が挙げられる。
機関向けの決済業務でも活用余地がある。受託資産の移転やDvP、国際決済の完了といった複数アカウントが連動する取引では、実行順序への依存や、相手方が約束どおり履行するかといった問題が生じやすい。バッチ機能を使えば、こうした信用コストや順序競合、一部取引のみが完了するリスクの低減につながるとしている。
開発者やサービス事業者にとっての活用範囲も広がりそうだ。バッチ機能は、複数の呼び出しをまとめるマルチコール、一括実行する原子的バンドル、フラッシュローンのような取引構造を、スマートコントラクトなしで実装する基盤として提示されている。
新規開発者の参入障壁を下げる狙いもある。分散型取引所(DEX)やウォレット、マーケットプレイスでは、利用者の支払いとプラットフォーム手数料の徴収を1つのバッチとしてまとめて処理できる。基本取引に手数料支払いを連動させることで、サービスの収益化設計にも活用できるという。
今後の焦点は、残る期間中に支持率80%以上を維持できるかどうかだ。予定どおり有効化されるかに加え、その後に機関決済や各種サービス開発でどこまで採用が広がるかが注目される。