Valveの次世代携帯型ゲームPC「Steam Deck 2」は、2027年時点で競争力を保つために、ディスプレイ、性能、価格、操作部の耐久性、バッテリーの5分野で改良が必要になりそうだ。競合各社が仕様を引き上げる中、初代Steam Deckが築いた「価格と性能のバランス」を後継機でも維持できるかが焦点になる。
英TechRadarは9月20日(現地時間)、現行のSteam Deckは主要競合と比べて、画面解像度や処理性能の面で見劣りしつつあると伝えた。その上で、Steam Deck 2には単なるプロセッサ強化にとどまらず、携帯型ゲームPCとしての完成度を全体として底上げすることが求められると指摘した。
まず課題として挙がるのがディスプレイだ。Steam Deck LCDとSteam Deck OLEDはいずれも解像度が1280×720で、最大リフレッシュレートはそれぞれ60Hz、90Hzにとどまる。
発売当時としては競争力のある仕様だったが、その後は1080p以上の解像度と120Hz以上のリフレッシュレートを備えた製品が増えた。ASUSのROG AllyやLenovoのLegion Goも、高解像度・高リフレッシュレートを訴求点としている。
このためSteam Deck 2には、少なくとも1080p解像度と120Hz級のリフレッシュレート対応が必要だとの見方が出ている。画面強化は画質改善にとどまらず、今後投入される高性能な携帯型ゲームPCとの競争でも重要な要素になる。
性能面でも見直しは避けられない。初代Steam DeckはカスタムAMD APUを採用し、720p環境で30fps前後の動作を狙った。一方、足元の携帯型ゲームPC市場では、AMD Ryzen Z1/Z2シリーズやIntel Arc G3系APUを採用する製品が増え、性能競争が一段と激しくなっている。
もっとも、ValveがデスクトップPC並みの性能をそのまま携帯機に持ち込むのは現実的ではない。Valveが最近投入したSteam Machineは、Zen 4ベースの6コアCPUとRDNA 3ベースの28コンピュートユニットGPUを搭載し、Steam Deck比で約6倍の性能をうたうが、消費電力は大きい。
Steam Machineが電源接続時に約170Wを消費するのに対し、Steam Deck OLEDはAC接続時で最大45W、バッテリー駆動時は約4〜27Wで動作する。携帯機である以上、Steam Deck 2も絶対性能を無理に追うより、電力効率を高める方向が現実的とみられる。
TechRadarは、AMD Ryzen Z2シリーズで電力効率の改善が進んでいる点を踏まえ、低消費電力環境でも1080pで30fps以上を安定して維持できる構成が目標になり得ると分析した。
価格競争力の維持も重要な論点だ。Steam Deckは発売当初、Valveが一定の損失を織り込んだ上で市場投入した製品とされる。共同創業者兼CEOのゲイブ・ニューウェル氏も当時、価格設定は容易ではなかったが、市場参入の決め手だったとの趣旨を語っていた。
手ごろな価格で十分な性能を提供する戦略は、Steam Deckの初期成功を支えた要因の1つだった。ただ、近年はメモリ価格の上昇などを背景にSteam Deck OLEDの価格が大きく上がり、販売面でも逆風となっているという。
そのためSteam Deck 2でも、価格競争力の確保が欠かせない。ベースモデルとミドルレンジモデルを1000ドル未満に抑えつつ、競合製品より低い価格帯を維持すべきだとの見方が示されている。高性能な携帯型ゲームPCの価格上昇で消費者負担が増す中、Valveは再び価格を大きな武器にする必要があるというわけだ。
操作部の耐久性も改善余地として挙がった。現行Steam Deckは、長時間プレイでも比較的安定したグリップ感を評価する声がある一方、ボタンやアナログスティックの耐久性には不満も指摘されている。
とりわけ従来型のスティックは、摩耗が進むとスティックドリフトが発生し得るポテンショメータ方式だ。次世代機では、磁気検知を使うTMR(トンネル磁気抵抗)方式のスティックを採用すべきだとの意見が出ている。TMRは感度と精度が高く、近年は部品コストも下がり、携帯機にも採用しやすくなっているという。
バッテリー容量も、性能向上と並行して解決すべき課題だ。Steam Deckは40Wh、Steam Deck OLEDは50Whのバッテリーを搭載する。公式の駆動時間はゲームによって約2〜12時間だが、高負荷のタイトルでは実使用が2〜4時間程度にとどまるケースが多いとされる。
競合各社は、より大容量のバッテリーを打ち出している。ASUSのROG Ally Xは80Whバッテリーを搭載し、高負荷ゲームでもより長い駆動時間を確保した。Steam Deck 2が解像度と性能を引き上げれば消費電力も増える可能性があるため、容量拡大と電力効率改善を並行して進める必要がある。
最終的に、Steam Deck 2の競争力は単純な最高スペック争いではなく、全体のバランスで決まるとみられる。初代Steam Deckが注目を集めたのも、最強クラスのハードを搭載していたからではなく、比較的手の届きやすい価格で十分なPCゲーム体験を提供したためだ。
Steam Deck 2が2027年に登場する場合、1080p/120Hz級ディスプレイ、電力効率の向上、妥当な価格設定、耐久性を高めた操作部、大容量バッテリーが主要な競争条件になる公算が大きい。Valveが「十分に高性能で、手が届く携帯型PC」という初代の成功方程式を後継機でも再現できるかが注目される。