米上院は15日、暗号資産の市場構造規制を定める「Clarity法案」の審議入りに必要な手続き投票を否決した。業界が求めてきた包括的な制度整備は前進できず、ビットコインは3%下落。CoinbaseとCircleの株価も大きく値を下げた。CNBCが報じた。
同日の採決結果は賛成50、反対49で、審議入りに必要な60票に届かなかった。
法案を巡っては数カ月にわたり超党派協議が続いていたが、上院審議はここで足踏みする形となった。共和党指導部は13日に修正案を示し、公職者が暗号資産事業から収益を得ることを制限する倫理規定を盛り込んだが、反対派の支持を取り付けるには至らなかった。
民主党は、ドナルド・トランプ大統領とその家族による暗号資産事業の収益問題を、より厳しく扱うべきだと主張してきた。民主党側の交渉を主導したルベン・ガイェゴ上院議員は採決前、従来の妥協案について、多くの民主党議員の賛成を得られる倫理条項を含んでいたと説明。その上で、共和党は規制整備よりも大統領の収益問題を優先したと批判した。
市場はすぐに反応した。ビットコインは3%下落し、Coinbase株は8%、Circle株は10%それぞれ下落した。
Clarity法案は、暗号資産規制の枠組みを整え、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を切り分ける内容が柱だ。登録要件の整備に加え、マネーロンダリング対策の強化も盛り込んでいる。
もっとも、今回の手続き投票が可決されていたとしても、法案成立が直ちに決まる段階ではなかった。上院で追加協議と採決を経た後、下院も可決して初めてトランプ大統領に送付される手続きだった。
暗号資産に前向きな立場で知られるシンシア・ルミス上院議員は採決前、今回の手続き投票が失敗すれば法案成立は大きく遠のくとの見方を示していた。
今回の否決で、業界が求める明確なルール整備は来年に持ち越される可能性が強まった。一部では、議会立法ではなく規制当局による対応に期待する声も出ている。
SECは、スタートアップが登録なしで最大7500万ドル相当のトークンを販売できるようにする案を提案している。CFTCは最近、米国内で初となるビットコインの無期限先物を承認した。
7週間後に迫る中間選挙も、法案の再推進には逆風となる。上院議員は10月初旬にワシントンを離れ、選挙後に復帰する見通しで、下院も今週末にも先行して休会に入る見込みだ。
今回の採決は、暗号資産の政治活動委員会(PAC)であるFairshakeが、Clarity法案阻止に回った上院議員の対立候補を支援するきっかけとなる可能性もある。