中国・雲南大学の研究チームが、水深10メートルでも発電可能な水中向けペロブスカイト太陽電池を開発した。水に弱いとされてきたペロブスカイト太陽電池の耐久性を高めるとともに、水中に届く光の波長に合わせて吸収特性を調整したのが特徴だ。南シナ海での実証では、小型モジュールでバッテリー充電にも成功した。
米Ars Technicaが14日(現地時間)に報じた。研究チームを率いるシーミン・マー氏らは、水中発電に特化したバンドギャップの広いペロブスカイト太陽電池を開発し、実験室と南シナ海で性能を検証した。研究成果は国際学術誌「Joule」に掲載された。
水中では太陽光の多くが吸収されるため、水深が増すほど利用できる波長帯は限られる。研究チームはペロブスカイトの組成を調整し、水深約10メートルまで届く光に最適化した。水深10メートルの光環境を再現した実験では、光電変換効率34.71%を記録した。標準的な太陽光条件での認証効率は16.79%だった。
耐久性の向上には、ポリヘキサメチレン・グアニジン塩酸塩(PHMG)を添加した。これにより結晶品質を高め、イオン移動と非放射再結合を抑えたことで、効率と安定性の両立を図ったという。保護層で封止したモジュールは、水中条件で約1160時間の試験後も性能低下がほとんど見られなかった。
加速試験に基づく推定では、出力が初期値の80%に低下するまでの寿命(T80)は約4万8094時間、5.49年に相当する。ただし、実際に5年以上の使用を確認したわけではないとしている。
南シナ海での現地試験では、小型モジュールを水深2メートル、6メートル、10メートルに設置し、バッテリーを充電した。水深10メートルでは2時間で324mWhを発電し、リチウムイオン電池を充電してLEDを駆動できた。10メートルでの発電量は2メートル時の約4分の1にとどまった。一方で、水深が深いほど波による出力変動は小さくなった。
研究チームは今後の用途として、水中センサーや無人潜水艇、海洋IoT向けの独立電源を挙げている。ただ、水深が深くなるほど利用可能な日射は急減する。このため、実用に耐える水深の見極めと長期耐久性の検証が今後の課題になるとしている。