LG Electronicsは9月15日、済州国際コンベンションセンターで、済州特別自治道、済州開発公社、韓国生産技術研究院と「集合住宅の冷暖房電化およびP2H(Power to Heat)実証事業」の推進に向けた業務協約を締結したと発表した。済州の集合住宅で、ガス配管に依存しない冷暖房・給湯の電化モデルを実証する。
同社によると、入居中のアパート団地にヒートポンプを設置して実証を行うのは韓国で初めて。対象は西帰浦市ヒョドンドンのシンヒョアパートで、地下1階・地上7階建て、12世帯が暮らしている。10月までに設計を終えて着工し、12月の竣工後に運転実証へ入る予定だ。
各機関の役割も決まった。LG Electronicsはシステム設計、製品供給、試運転・保守、性能評価を担う。済州特別自治道は制度改善と政策連携、済州開発公社は建物の提供と運営、韓国生産技術研究院はP2Hの設計とデータ分析を担当する。
実証モデルは、各住戸向けのヒートポンプ冷暖房システムと、中央給湯向けのP2Hシステムを組み合わせる構成を採る。各住戸に設置するヒートポンプは、室外機1台で冷房と床暖房に対応する。住戸ごとの冷暖房調整が可能になる一方、室外機の設置スペースも抑えられるとしている。
給湯は、各住戸にタンクを置かず、1階ピロティの空きスペースに空気熱源ヒートポンプと大容量給湯タンクを設置し、各住戸へ一括供給する方式を採用する。太陽光など再生可能エネルギー由来の余剰電力でヒートポンプを稼働させて熱を蓄え、給湯に活用する仕組みで、電力網の安定化や入居者のエネルギーコスト削減につながるとみている。
LG Electronicsは2008年にヒートポンプ事業へ参入した。2011年には韓国内のシステムボイラー事業に参入し、2018年には韓国初となる住宅用一体型ヒートポンプボイラーを供給するなど、関連技術を蓄積してきた。
また、政府と済州特別自治道が進めた「2026年 済州 生活の中のヒートポンプ普及事業」では、上半期・下半期を通じて全体物量の中で最も多い世帯数を受注し、1位事業者に選定されたという。
今回の実証で得る運転データは、公的賃貸住宅、既存住宅のリモデリング、新築団地などへの展開に活用する。LG Electronicsは「韓国型の集合住宅電化標準モデル」を構築し、戸建てに続いて集合住宅全般へ普及を広げる方針だ。
寒冷地向けの技術開発では、米アラスカ、ノルウェー・オスロ、中国・ハルビンにヒートポンプ研究所を運営しており、各国の大学・研究機関との連携も続けているとしている。
LG ElectronicsのES研究所長(副社長)、オ・セギ氏は「実際に入居者が暮らすアパートを対象にした今回の実証は、集合住宅の特性に最適化したヒートポンプ冷暖房・給湯の電化モデルを検証するうえで大きな意義がある」とコメントした。
そのうえで「グローバル市場で実証してきた独自のヒートポンプ技術を基に、韓国の住環境における脱炭素化と電化転換を主導していく」と述べた。