ステーブルコインは、国境をまたぐ決済のコストや時間を削減する余地がある一方、各国でばらつく規制が普及の足かせになっている。世界貿易機関(WTO)は、国際決済全体に占めるステーブルコインの利用比率がなお約3%にとどまるとの見方を示した。
14日付のCointelegraphによると、WTOでサービス貿易・投資部門を統括するフアン・マルケティ局長は、ジュネーブで開かれた報告書「ステーブルコインと世界貿易」の発表イベントで、「ボトルネックは技術ではなく、規制と制度整備の遅れだ」と述べた。
WTOは、ステーブルコインについて、国境をまたぐ決済に伴う高コストや処理の遅れ、利用制約、透明性の低さ、為替規制といった課題を和らげる可能性があると評価した。実際、国境をまたぐステーブルコイン決済規模は2020年から2024年半ばにかけて35倍に拡大した。とりわけ送金コストの負担が重い開発途上国では恩恵が見込まれる半面、制度基盤はなお脆弱だとしている。
規制面での隔たりも大きい。金融安定理事会(FSB)が昨年実施した調査では、対象となった28の管轄区域のうち、グローバルなステーブルコイン規制の枠組みを最終化していたのは11区域にとどまり、比率は39%だった。FSBは、各国で制度が異なることが規制アービトラージを招き、国境をまたぐ監督を難しくする恐れがあると指摘している。
民間の決済事業者は活用の幅を広げている。Mastercardは6月、USDCやRLUSDなど規制対応のステーブルコインを使ったオンチェーン決済と、昼夜・週末・祝日を含む決済対応の拡大計画を発表した。Western Unionも先月、Rainと提携し、米ドル連動型ステーブルコインの保有・送金・決済に対応する「ステーブルカード」を37市場で投入した。年末までに60超の市場へ拡大する計画だ。
WTOは、ステーブルコインを世界貿易決済の主流に育てるには、技術の進展だけでなく、国際的な規制の整合性と既存の金融ネットワークとの相互運用性の確保が欠かせないと強調した。