TeslaのCybercab(写真=Tesla)

Teslaのロボタクシー専用車「Cybercab」は、家庭用AC電源での充電に対応しない見通しだ。EVで一般的な車載オンボード充電器を搭載せず、TeslaのSuperchargerなどDC急速充電インフラを前提に設計されていることが分かった。

米EVメディアのInsideEVsが9月11日(現地時間)に報じた。報道によると、Cybercabには家庭用充電で使うオンボード充電器が搭載されていない。

一般的なEVは、家庭から供給される交流(AC)電力を車載のオンボード充電器で直流(DC)に変換してバッテリーを充電する。これに対しCybercabは、その変換機能を車両側に持たない構成となる。

このため、現時点ではCybercabはSuperchargerのようなDC急速充電器でのみ充電できるとみられる。TeslaのWall Connectorなどを使った家庭でのAC充電はサポートしない。

Cybercabは、Teslaがロボタクシー運用に不要と判断した装備を削減した車両と位置付けられる。ステアリングホイール、ペダル、サイドミラーに加え、オンボード充電器も省くことで、構造の簡素化とコスト削減を図った形だ。

充電方式もこの設計思想の延長線上にある。オンボード充電器を載せない以上、車両には外部からDC電力を直接供給する必要があるためだ。

Cybercabは、後部バンパー内側のアクセスパネル内に隠されたNACS充電ポートを介してDC急速充電器に接続する。もっとも、現時点では一般向けに販売されておらず、家庭で充電できないことが直ちに購入時の制約になるわけではない。ただ、将来一般販売された場合、既存のEVとは大きく異なる充電体験になる可能性がある。

Teslaは長期的には無線充電システムの導入も計画している。将来的にはSupercharger拠点に無線充電設備を整備し、充電ケーブルを接続せずに充電できるようにする構想だ。

無線充電には、ロボタクシー運用で人手の介在をさらに減らせる利点がある。車両が充電エリアに入るだけで充電を開始できれば、ケーブル接続の手間が不要となり、無人運行とも親和性が高い。

一方で、充電速度には制約もある。記事が引用した2年前の映像では、Teslaの無線充電技術の出力は最大25kW程度とされていた。Superchargerのピーク出力である約250kWと比べると、大幅に低い水準にとどまる。

ただし、一般的な家庭用AC充電より速い可能性はある。過去に伝えられたCybercabのバッテリー容量が50kWh未満という情報が現在も有効であれば、25kW級の無線充電でも満充電まで約2時間とする見方が出ている。

TeslaがCybercabにこうした独自の充電方式を採用した背景には、車両の運用目的がある。Cybercabは通勤や旅行に使う個人向け乗用EVというより、収益化を前提に稼働するロボタクシーのプラットフォームに近い。

ロボタクシー事業では、充電のために車両がサービスから離脱する時間をできるだけ短くすることが重要になる。充電に時間のかかる家庭用AC充電よりも、高出力のDC急速充電を軸にインフラを整える方が、運用効率の面で有利になりやすい。

ステアリングホイールやペダルを省いたのも同じ文脈にある。人が直接操作する前提の装備を減らし、自動運転システム中心の設計に振ることで、コストと構造の両面を簡素化した。

もっとも、最終仕様がこのまま確定するとは限らない。TeslaはCybercabの一般販売をまだ始めておらず、発売前にオンボード充電器を追加するなど、設計が見直される余地は残っている。

現時点で明らかになっている仕様を見る限り、Cybercabは一般的なEVとは異なり、Tesla独自の充電インフラを軸に運用するフリート型ロボタクシーを前提に設計された車両といえそうだ。家庭充電を前提としない代わりに、充電プロセスの自動化まで視野に入れ、車両の稼働時間を最大化する考えがうかがえる。

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