SwissBorgが、Zcash(ZEC)とLitecoin(LTC)の取扱いを開始した。欧州では匿名性を高める機能を持つ暗号資産への規制強化が進んでおり、今回の追加はそうした局面での動きとして注目される。
暗号資産メディアのU.Todayによると、SwissBorgは14日、ユーザーの検索需要の拡大を背景に両銘柄を追加したと明らかにした。ZECとLTCは、12種類の法定通貨または400種類超の暗号資産と即時に交換できるという。SwissBorgは、フランスでMiCA認可を受けた法人を通じて欧州向けサービスを展開している。
中でも市場の関心を集めるのはZECの追加だ。ZcashはMoneroのように全取引が標準で匿名化される仕組みではなく、公開アドレスを使う透明取引と、取引情報を秘匿するシールド取引の両方をサポートする。報道では、SwissBorgは現時点で透明アドレスのみを扱っており、既存の資金洗浄対策や取引追跡の要件に対応していると説明している。
もっとも、欧州の規制環境は今後大きく変わる見通しだ。EU資金洗浄対策規則(AMLR)79条は、2027年7月10日から、暗号資産サービス提供者が顧客や取引の匿名化、追跡困難化につながる口座を運用することを禁じる。規則の適用対象には「匿名性強化コイン」も含まれる。
規則上、特定のコイン名が明示されているわけではない。ただ、ZECのように選択的なプライバシー機能を持つ資産については、欧州の取引所やカストディサービスで相応の制約が生じる可能性がある。なお、個人がウォレットを保有すること自体は禁止されていない。
今回の取扱い開始は、ZEC相場の急伸とも重なった。報道によれば、ZECは空売りの清算や現物ETFへの期待を背景に、直近1週間で約45%上昇し、1000ドル(約15万円)を突破。この日は1200ドル(約18万円)前後まで買われたという。
LTCもまた、選択型のプライバシー機能であるMWEBをサポートしている。AMLRは、匿名化機能が標準または選択的に組み込まれた資産を「匿名性強化コイン」と定義しており、今後は具体的にどこまで規制を適用するのかが焦点となる。規制施行を控える中、SwissBorgはユーザー需要を踏まえ、両資産を取扱銘柄に加えた形だ。