トランプ米大統領(写真=Shutterstock)

トランプ米大統領は14日、中国の自動車メーカーが米国内に工場を設けて現地生産するのであれば、米市場での販売を認める考えを示した。一方で、中国車に対する100%関税や、中国製ソフトウェア・ハードウェアを搭載する車両への販売規制は維持されており、実際の参入にはなお高いハードルが残る。

米EV専門メディアのInsideEVsによると、トランプ大統領はFox Newsのインタビューで、中国企業の米国進出について言及した。

トランプ大統領は「中国が米国に来て工場を建設し、ここで自動車を作るのであれば構わない」と述べ、「日本も同じことをしており、米国民を雇用している。重要なのは米国民を雇うことだ」と語った。これに対し、中国企業がメキシコで車両を生産し、米国向けに輸出して通商ルールを回避するやり方については認めない考えを示した。

もっとも、この発言は中国車を巡る米国の既存規制とは必ずしも整合しない。米国は現在、中国で生産された自動車に100%の関税を課している。加えて、中国製ソフトウェアやハードウェアを使用する車両の米国内販売を制限する規制も設けている。ソフトウェア関連は2027年、ハードウェア関連は2030年に適用が始まる。

こうした規制は単なる方針表明ではなく、中国企業の技術と結び付いた車両の米市場参入を阻む要因となっている。Polestarは米市場で販売面の制約を受けており、Mercedes-Benzについても中国との技術連携を巡って米政府との摩擦が生じる可能性があるとみられている。トランプ大統領が米国内生産に前向きな姿勢を示したとしても、規制の枠組みが維持される限り、中国車の販売が直ちに可能になるわけではない。

政界からも反発が出ている。ミシガン州選出のエリッサ・スロットキン上院議員は、米中交渉の過程で中国車の米市場参入を認める内容が盛り込まれる可能性があると警戒感を示した。スロットキン氏は、中国車の米国内販売を全面的に禁じる法案の共同提出者でもある。

米政府内でも、中国に依存する自動車・電池サプライチェーンへの警戒は根強い。ショーン・ダフィ運輸長官は最近、Fordのミシガン州の電池工場を公に批判した。同工場は米国内で米国人労働者を雇用して電池を生産しているが、中国の電池大手CATLとのライセンス契約を通じて設計や技術を活用している。米政府は、こうしたFordと中国企業の連携を問題視している。

一方、トランプ大統領はこれまでも中国との関係改善の可能性に言及してきた。貿易赤字やスパイ活動、中国のイラン戦争における役割を批判する一方、習近平国家主席(Xi Jinping)を前向きに評価する発言をしたこともある。

今回の発言も、新たな方針転換というより、従来の立場を改めて確認したものとみられる。トランプ大統領は2024年の大統領選の選挙戦でも、中国の自動車メーカーが米国内で生産するのであれば、米市場で販売できるとの趣旨の発言をしていた。

中国自動車メーカーの実際の米国進出は、今後の米中交渉と規制の見直しに左右される見通しだ。習近平国家主席は今月末に訪米し、トランプ大統領と会談する予定とされる。ただ現時点では、100%関税と中国製ソフトウェア・ハードウェアを巡る販売規制が残っており、今回の発言だけで中国車の米市場参入が認められたわけではない。

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