半導体輸出が過去最高を更新する一方で、韓国では消費マインドの改善が鈍い。関連産業への波及も限定的で、半導体好況の恩恵が一部に偏っているとの見方が強まっている。
産業通商部によると、8月の半導体輸出額は468億ドルと、前年同月比206.1%増えた。月間輸出全体の半分近くを占める水準だ。ただ、韓国銀行は、好況の直接的な受益が一部の産業や階層に集中し、経済全体へのプラス効果が制約される可能性があるとみている。
韓国銀行によると、消費者心理指数(CCSI)は2月に112.7でピークを付けた後、下落基調に転じた。8月は104.5となり、昨年12月の水準も下回った。
指数は一時、基準線となる100を割り込んだ。5月から3カ月連続で上昇したものの、年初の水準には戻っていない。韓国銀行は8月の低下要因として、株式市場の調整と積み上がった物価負担を挙げた。8カ月連続で3桁増を続ける半導体輸出とは対照的な動きだ。
波及の弱さは消費だけにとどまらない。8月のシステム半導体輸出は前年同月比24.3%増にとどまり、メモリの伸び率の10分の1にも届かなかった。
工程別にみると、伸びを主導したのは後工程のパッケージング・テストと、設計を担うファブレスだった。一方、受託生産を手がけるファウンドリーの輸出は2.0%減少した。国内ファウンドリーは、メモリが8カ月連続で3桁増を続ける局面でも、前年実績の維持に苦戦した。
偏りは半導体以外の分野でさらに鮮明だ。1~8月の半導体を除く品目の輸出は18.0%増にとどまった。同期間に半導体が総輸出に占めた割合は40.6%だった。
乗用車と自動車部品の輸出は前年同期比で減少し、前年からの弱い流れを引き継いだ。
輸出の伸びが一方向に偏る背景には、価格要因もある。産業通商部によると、8月のメモリ半導体輸出は409億4000万ドルで、前年同月比290.2%増だった。増加の主因は、メモリの固定取引価格の上昇だという。
実際、輸出を押し上げたのは、高帯域幅メモリ(HBM)やサーバー向けDRAMモジュールなど、データセンター向け製品が中心だった。
受益の広がりを把握する統計はなお不十分だ。韓国銀行は7月の金融通貨委員会で、数量や品質に変化がないまま価格だけが上昇しても、数量ベースで計測する実質国内総生産(GDP)はすぐには増えないと説明した。
メモリの固定取引価格の上昇が輸出を押し上げても、その効果が消費や投資に及ぶまでには時間差があるという見方だ。
韓国銀行はこうした時間差を成長率見通しにも織り込んでいる。今年の成長率は3.3%と見込み、半導体市況の好転と波及効果の拡大を根拠に挙げた。半導体企業による生産能力増強が進むなか、設備投資は今年が6.8%増、来年も4.7%増と予想した。
その一方で、半導体好況の直接的な恩恵が一部の産業や階層に集中している点については、景気押し上げ効果を制約し得る要因として併記した。金融通貨委員会の委員の1人は、IT産業への依存が強まれば、他の製造業やサービス業の投資・イノベーション余力が弱まり、部門間の不均衡によって成長の裾野そのものが損なわれかねないと指摘した。
こうした懸念が繰り返し示される一方、波及が実際にどこまで制約されているかを確認できる統計は十分に整っていない。金融通貨委員会の委員の1人は、半導体産業の集積地域とその他地域の家計ミクロデータを比較し、好況が消費や物価にどう波及するかを分析するよう関係部署に求めた。
経済界関係者は「半導体輸出の実績と内需の体感景気が乖離する、K字型の二極化が表れている」としたうえで、「生産現場の自動化が進み、供給網もグローバル化した以上、輸出増がそのまま幅広い波及効果につながるという前提は見直す必要がある」と指摘した。さらに「好況が続く間に受益がどのように広がるのかを追跡し、輸出主導の成長効果を実際に内需へつなげる構造への転換が必要だ」と述べた。