2000年代に人気を集めた韓国のオンラインゲームが、リマスターや再設計を通じて再び動き始めている。JoyCityは「Freestyle Reboot」を投入し、Dragonflyも「Special Force Remaster」の正式サービス開始を控える。Nexonは「Mabinogi Eternity」でサービス中タイトルの刷新を進める一方、過去IPの外部開放による再活用にも乗り出した。
◆エンジン刷新で旧作を現行環境向けに再設計
JoyCityが先月13日にサービスを開始した「Freestyle Reboot」は、2004年に登場したPC向けオンラインバスケットボールゲーム「Freestyle」を新エンジンで再構築したタイトルだ。3対3のリアルタイム対戦といった原作の基本構造は維持しつつ、グラフィックスやキャラクターの動きを改善し、アイテムの能力値への依存度も引き下げた。
サービス開始後も、既存ユーザーと新規ユーザーの実力差を縮めるための調整を続けている。JoyCityはリバウンドの軌道や初心者向けマッチングを見直したが、変更内容の一部はパッチ配信から1日で再調整した。既存ユーザーになじみのある操作感を残しつつ、新規参入のハードルを下げる狙いだ。
Dragonflyは「Special Force Remaster」の正式サービス開始に向けた準備を進めている。2004年に登場した原作は、PCバン(PC房)のゲームランキングで79週連続1位を記録し、韓国内の累計会員数600万人を集めたFPSとして知られる。
リマスター版ではUnreal Engineを採用してグラフィックスを強化する一方、銃の反動やスピード感のある戦闘テンポ、斜め移動やゴーストステップなど、原作の操作感は維持した。Pay to Win要素は抑え、訓練場とチュートリアルを追加して新規ユーザーの参入障壁を下げた。3月から実施したアーリーアクセスで集めたユーザーの意見も正式版に反映する。
Nexonの「Mabinogi Eternity」も同じ流れにある。2004年にサービスを開始したMMORPG「Mabinogi」にUnreal Engineを導入し、キャラクターの外観や背景グラフィックスを改善するほか、プレイの利便性、生活コンテンツ、サウンドまで含めて全体を見直すプロジェクトだ。
Nexonは今月3日から6日にかけて初のアルファテストを実施し、序盤の成長区間から戦闘、生活コンテンツに至るまで主要なプレイ導線を検証した。テストで収集したプレイパターンやアンケート結果は、今後の開発に反映する計画という。完全新作を立ち上げるのではなく、運営中タイトルの基盤技術とユーザー体験そのものを刷新するアプローチといえる。
「Freestyle Reboot」「Special Force Remaster」「Mabinogi Eternity」は手法こそ異なるが、原作の中核的な体験を残しながら、エンジンやシステムを現行の利用環境に合わせて作り直している点で共通している。
◆Nexon、過去IPを外部開発会社に開放
Nexonはサービス中タイトルの現代化を自社で進める一方、活用が減った過去IPについては外部開発会社への開放を進めている。
同社は昨年12月、「Legend of Darkness」「Elancia」「Asgard」「Tactical Commanders」「Everplanet」の5つのIPを公開した。開発チームにはグラフィックやサウンドなどの主要リソースを提供し、契約や審査の手続きも簡素化した。さらに、同一IPを複数の開発会社が非独占で利用できる仕組みも導入した。
開発はすでに進行している。「Tactical Commanders」はChogaSoftがリマスター版を開発中で、「Elancia」ではMMORPGのリマスター版とモバイルRPGなど複数のプロジェクトが進んでいる。「Everplanet」はMMORPGとして、「Legend of Darkness」はモバイルRPGとして再解釈が進められている。
◆単なる復刻から再設計へ、旧作IP活用も変化
過去IPの強みは、すでに確立された知名度とファンダムにある。ゲーム会社にとっては、新規IPを一から認知させる負担を抑えながら、なじみのある作品を現在の環境に合わせて再提示できる利点がある。
足元の旧作IP活用は、単なる復刻よりも、現行環境に合わせた再設計へと軸足を移しつつある。過去の知名度やファンダムを生かしながら、現在のユーザーに受け入れられるよう、技術やシステム、運営方式まで含めて見直す方向だ。
新作開発の規模とコストが膨らむなか、既存IPは、すでに形成されたファン層と認知度を生かして開発リスクを抑える有力な選択肢になり得る。ただ、過去の知名度だけでヒットが保証されるわけではない。「Freestyle Reboot」と「Special Force Remaster」が新規参入のハードル引き下げに力を入れるのも、そのためだ。
焦点となるのは、原作をどこまで忠実に再現するかではなく、何を残して何を変えるかにある。既存ユーザーの記憶だけに頼れば裾野を広げにくく、逆に変化が大きすぎれば、原作ファンが期待した体験を損ないかねない。
業界関係者は「過去の人気IPは、すでにユーザーに知られている点が強みだが、思い出だけで長期ヒットを生み出すのは難しい」とした上で、「保有IPごとに現状に合った活用法を選び、原作の核となる面白さを保ちながら、現在のユーザーが入りやすい形へ整えることが重要だ」と語った。