ハンドルやペダルを備えないZooxのロボタクシー。NHTSAは同車両の有償運行を初めて承認した。写真=Zoox

米道路交通安全局(NHTSA)は30日、Zooxが開発するハンドルやペダルのない専用設計ロボタクシーについて、有償運行を承認した。連邦自動車安全基準の適用除外を認めるもので、同種の車両が商用配備に向けた承認を得るのは初めてとなる。

今回の承認により、Zooxは今後2年間、年最大2500台を配備できる。対象となるのは、ハンドル、ブレーキペダル、サイドミラーなど一般車両に求められる装備を備えない専用設計の自動運転車両だ。Zooxは、こうした車両が連邦基準の適用除外を受け、商用配備の承認を得たのは初めてだとしている。

Zooxはこれまで、ラスベガスとサンフランシスコの一部地域で無料の乗車サービスを提供してきた。今回の承認によって有償サービスへの移行が可能となり、実証段階から商用化局面に入る。Zooxは30日、ラスベガスで来月から料金徴収を始める計画を明らかにした。

もっとも、実際の有償運行には州当局の許認可も必要となる。カリフォルニア州で有償サービスを始めるには、車両管理局と公益事業委員会の許可が求められる。Zooxは、両地域の規制当局と緊密に連携し、商用運行への移行準備を進めていると説明した。

車両の構造も既存のロボタクシーとは異なる。WaymoがJaguar I-PACEを改造した車両を用い、TeslaがModel Yベースのロボタクシーサービスを試験しているのに対し、Zooxはカリフォルニア州で車両を自社設計・生産している。車内は向かい合わせの2列ベンチシートを採用し、前後どちらの向きにも走行できる。

今回の承認は、競合各社にとっても先例となる可能性がある。TeslaのCybercabもハンドルやペダルを持たない構造で、同様の承認が必要になる見通しだ。General Motorsが保有していた自動運転スタートアップのCruiseは、Originシャトルの適用除外の承認取得を進めたものの、実現には至らなかった。

NHTSAはZooxの承認とあわせて、自動運転車を巡る制度整備の方針も打ち出した。適用除外の承認前に生産された車両も商用配備の対象に含められるよう暫定最終規則を公表したほか、適用除外申請手続きの簡素化も進める。さらに、SAEインダストリー・テクノロジーズ・コンソーシアムとともに3年間の協議体を支援し、自動運転車の性能や安全に関する全国統一基準の整備にも着手する。

ジョナサン・モリソンNHTSA局長は声明で、「NHTSAは自動運転車の安全な開発と配備を支持している。不必要なイノベーションの障壁を取り除き、業界向けの指針を整備し、性能要件を策定する一方で、強力な執行監督を行うことで、自動運転車規制にバランスの取れたアプローチを取っている」と述べた。さらに「こうした進展は、米国が安全かつ責任ある形で自動運転技術分野を引き続き世界で主導することにつながる」と付け加えた。

今回の承認と制度整備により、米自動運転業界が州・地方ごとに個別対応してきた規制負担は、一部軽減される可能性がある。専用設計の自動運転車両を巡る商用化競争は、車両設計だけでなく、連邦基準への対応と州ごとの許認可取得をあわせて問われる段階に入った。

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