Volvoは、電気SUV「EX90」と電気セダン「ES90」で予定していたLiDAR関連機能の開発を中止し、既存購入者への補償手続きに入った。車両にはLiDARハードウェアを搭載する一方、関連するソフトウェア機能は提供しない。
電気自動車メディアのElectrekが29日付で報じた。Volvoは、ルーフ上部に搭載するLuminar製「Iris」LiDARを活用した機能の開発を打ち切る。これに伴い、当該機能が提供されないEX90とES90の購入者を対象に、各国で補償を実施している。
Volvo Carsのノルウェー広報担当、ヘンリク・ユル・タイゲ氏は、LiDAR供給元であるLuminarとのパートナーシップを終了し、EX90とES90に適用する予定だったLiDAR関連機能の開発計画も停止したと明らかにした。
補償内容は国によって異なる。ノルウェーでは1台当たり1万8000ノルウェークローネを支給する。スウェーデンでは2025年11月に対象車の販売価格を1万6000スウェーデンクローナ引き下げた。
米国では約1500ドル相当の選択型特典を用意する。内容はSiriusXM利用権、充電クレジット、タイヤ・ホイール保証、車両整備パッケージなど。オランダの購入者には1500ユーロ、カナダの購入者には2000カナダドルをそれぞれ補償として支給する。
背景にはLiDARのサプライチェーン問題がある。Volvoは2025年11月、Luminarとの契約を終了し、その理由として供給網リスクや契約上の義務不履行を挙げた。
その後、Luminarは2025年12月に米連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請した。これにより、センサー供給やアフターサポートの継続が事実上難しくなり、Volvoが当初約束していたLiDARベースの運転支援機能の提供も困難になったとしている。
一方でVolvoは、LiDAR関連機能を除いても車両の安全性や先進運転支援システム(ADAS)の性能への影響は大きくないとの立場を示している。
EX90はLiDARのほか、レーダー5基、外部カメラ8基、内部カメラ2基、超音波センサー16基を搭載する。ES90も同様のセンサー構成だという。Volvoは、こうしたセンサー群と高性能コンピューティングシステムの組み合わせだけでも、高い安全性と運転支援機能を提供できると説明した。
市場では、完成車メーカーのLiDAR戦略が後退しつつあるとの見方も出ている。ただ、Volvoは特定技術の放棄ではなく、供給元との契約終了とサプライチェーン不安が直接の要因だと強調した。
今回の対応は、ソフトウェア中心へ移行する自動車業界において、ハードウェアを搭載していても約束した機能を必ずしも提供できるとは限らないことを示した格好だ。未提供機能に対して現金やサービス特典で補償に踏み切った事例として、今後の類似案件の判断材料になる可能性もある。