Digital Currency Group(DCG)は米議会に対し、暗号資産の市場構造を定める「CLARITY Act」の早期成立を求めた。米国で規制の不透明感が長期化するなか、企業や開発者、投資資金が海外へ流出し、業界の主導権が揺らいでいると警鐘を鳴らした。
29日付のBitcoin Magazineによると、DCGは同日公表した声明で、審議中のCLARITY Act案について、暗号資産業界に必要な規制の明確化につながる内容だと評価し、議会に早期の法案成立を促した。
DCGは声明で、「現在の法案は、業界が責任ある形で成長するために必要な規制の明確性を備えている」と指摘した。そのうえで、「真摯な協議の積み重ねと、業界団体、擁護団体、民主・共和両党議員による現実的な妥協の成果だ」と位置付けた。
声明が出たのは、米議会が8月の休会前に法案の取りまとめを急ぐ局面だ。法案は超党派で準備されたが、一部の民主党議員は現行の修正案に反対しており、最終合意にはなお至っていないという。
DCGは米暗号資産業界を代表する投資会社の一つで、200社超のブロックチェーン・暗号資産関連企業に投資している。投資先には、現物ビットコインETFを手がけるGrayscaleが含まれる。
DCGは、米国の産業競争力の低下にも強い危機感を示した。「競争環境はかつてなく厳しさを増している」としたうえで、「米国は長らく技術革新の中心地だったが、いまや驚くべきスピードで主導権を失いつつある」と主張した。暗号資産企業や開発者、投資資本が、拠点候補としてシンガポールやアラブ首長国連邦(UAE)を視野に入れているとも訴えた。
CLARITY Actは、米国内の暗号資産を巡る規制権限と市場構造を明確に定める法案だ。共和党は昨年、下院通過にこぎ着けたのに続き、今年も立法化を推進しているが、民主党との見解の隔たりから審議は遅れている。
直近で公表された修正案には、公職者とその家族による暗号資産の発行や宣伝を制限する条項が新たに盛り込まれた。これは民主党が継続的に求めてきた内容の一つだ。
ただ、党派間の溝はなお大きい。共和党が早期処理を求める一方、エリザベス・ウォーレン上院議員ら一部の民主党議員は、現行法案について、ドナルド・トランプ大統領の暗号資産事業との関係で利益相反につながりかねないうえ、金融犯罪への対応も不十分だと批判している。
これに対し、主要金融機関や業界団体は修正案を支持している。FidelityやGoldman Sachsを含む主要機関に加え、暗号資産ロビー団体や一部の政治関係者は、現行の修正案が実務上機能し得る内容だと評価した。
市場の最大の焦点は、8月の議会休会前に超党派合意をまとめられるかどうかだ。法案が成立すれば、米国の暗号資産規制の枠組みは一段と明確になる見通し。一方、交渉が決裂すれば規制の不透明感は残り、企業や資本の海外流出を巡る議論も続きそうだ。