米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の据え置きを決めた後、ビットコインは一時上昇したものの、ケビン・ウォッシュFRB議長のタカ派発言を受けて下落し、6万4000ドルを割り込んだ。市場では、FRBのインフレ警戒姿勢に加え、米金利の上昇や中東情勢の緊迫化も重しとなっている。
29日(現地時間)、ブロックチェーンメディアのThe Defiantによると、ビットコインは6万4000ドルをやや下回る水準で推移し、24時間騰落率は0.13%の上昇にとどまった。
FRBは同日、政策金利を3.50〜3.75%に据え置いた。市場の関心は据え置き自体よりも、ウォッシュ議長の記者会見での発言に集まった。ウォッシュ議長は今月初めの議会での発言でも、高インフレを容認しない姿勢を示しており、市場参加者にとっては9月15〜16日の次回会合までの金利見通しを探る手掛かりが一段と乏しくなった格好だ。
今回の決定では、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー3人が25ベーシスポイント(bp)の利上げを主張し、据え置きに反対票を投じる異例の展開となった。反対したのは、ベス・ハマック・クリーブランド連銀総裁、ニール・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ロリ・ローガン・ダラス連銀総裁。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchによると、会合前の利上げ確率は約35%だった。
ウォッシュ議長就任後2回目となる声明でも、FRBはインフレへの警戒を維持した。声明では、インフレ率は2%目標をなお上回っているとしたうえで、エネルギーを含む一部分野の価格上昇について、供給面のショックが背景にあるとの認識を示した。経済活動については、中東紛争による高い不確実性の下でも拡大を続けていると評価した。
マクロ環境もリスク資産には逆風となった。ドナルド・トランプ米大統領が、中東で米国人員への攻撃があれば強硬に対応すると述べたことを受け、原油価格は上昇。米10年国債利回りは年初来高値圏となる4.62%まで上昇した。ダウ工業株30種平均は取引開始後に一時400ドル近く下落したが、FRBの据え置き決定後は下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数も、ウォッシュ議長の発言中に0.4%安へ転じた。
主要な暗号資産の値動きは総じて限定的だった。イーサリアムは1900ドル近辺、XRPは1.06ドル前後で推移した。暗号資産全体の時価総額は約2兆2900億ドルで、24時間ベースでは2.2%増加した。暗号資産の恐怖・強欲指数は35と、引き続き「恐怖」圏にとどまった。同日は金価格も1.2%上昇した。
FRBの据え置きは6会合連続となった。据え置き局面が長引くなか、ビットコインは1月末に8万3000ドルを上回っていた水準から大きく値を切り下げている。当時は市場全体でリスク回避姿勢が強まり、ジェローム・パウエル前議長時代に8対4の異例の採決で据え置きが決まった会合では、7万6000ドルを下回る場面もあった。
個別トークン物色の流れも続いた。時価総額上位300トークンでは、Kaito(KAITO)が21%高の1.34ドルと上昇率トップ。Odiera(BEAT)も21%高の3.84ドルとなり、HoloWorld AI(HOLO)は17%高、Velvet(VELVET)は13%高だった。
大型銘柄では、Monero(XMR)が1億600万ドル超の出来高を伴って4.4%高の354.34ドルまで上昇した。Cardano(ADA)は6.1%高の0.168ドル、Jupiter(JUP)も5.6%上昇。Zcash(ZEC)は「Ironwood」アップグレード後の初日に、約8000万ドル相当のZECが新たなシールドプールに移動し、市場の注目を集めた。
一方で下落銘柄も目立った。DEXE(DEXE)は約8000万ドルの出来高を伴い、9.5%安の2.78ドルと、上位300トークンで下落率トップとなった。KITE(KITE)は7.3%安、旧EigenLayerから改称したEigenCloud(EIGEN)は6.8%安、Bitway(BTW)は6.2%安。LayerZero(ZRO)とEthena(ENA)もそれぞれ4.3%安、4.1%安だった。
下位銘柄では、Lorenzo ProtocolのBANKトークンの軟調が続いた。BANKは48%安の0.18ドルとなり、出来高は2億1500万ドルを超えた。BANKは一時、1週間で約500%急騰し、0.27ドルの過去最高値(ATH)を付けたが、足元の調整で上昇分の大半を失った。
市場では、FRBの据え置き決定そのものよりも、ウォッシュ議長のインフレ対応方針や今後の発信姿勢の変化に対する感度が高まっている。9月会合までは、インフレ指標や金利見通し、中東リスクが、ビットコインを含むデジタル資産市場の流れを左右する公算が大きい。